スノーモービル Ski-Doo Tundra LT とのツーショット
「死にますフゥー!!」
1.はじめに
今回は南極のアイスオペレーションの組作品を nanoblock(ナノブロック)で制作します。必要なものは nanoblock の基本セット「スタンダードカラーセット」(NB-023)だけですので、初めての人でも手をつけやすい作品になっているかと思います。本記事を見ながらじゃんじゃん作ってみてください。
アイスオペレーションは、日本の南極観測隊の活動のひとつで、南極の氷を持ち帰る作業です。その様子はアニメの「宇宙よりも遠い場所」(よりもい)でも描かれていますね(第13話)。
詳しくはこちらの極地研の記事もどうぞ。
2.スノーモービル「Ski-Doo Tundra LT」について
今回作成するスノーモービルは実在する「Ski-Doo Tundra」(スキードゥー・ツンドラ)という車両で、実際に南極の昭和基地で使用されています。また、よりもいに登場するスノーモービルもこちらがモデルと思われます。
Tundra はカナダのメーカー、ボンバルディア・レクリエーショナル・プロダクツ(Bombardier Recreational Products、BRP)社のスノーモービルで、昭和基地で用いられているのは Tundra LT(Long Track、つまりキャタピラ部が長い)と呼ばれる2人乗りの車種です。Tundra LTにはエンジンが2ストの550Fと4ストの600ACEがありますが、外観が同じのため見た目では区別できません。昭和基地にあるのがどちらかまでは判りませんでした。
昭和基地で活躍する様子はこちらをどうぞ。黄色のかっこいいマシンです!
メーカーのページはこちらです。
www.ski-doo.com毎年の南極観測隊の報告書を紐解きますと、第53次隊が2台の Ski-Doo を昭和基地へ持ち込んで、1年のうちに2台あわせて800kmほどを走りました(2011年)。Ski-Doo に限らずスノーモービルは南極の厳しい環境でエンジンが始動しづらいほか故障報告も多いのですが、氷上偵察や海氷上の移動、ルート工作、各種観測のために使用されているようです。
その後、55次隊がもう1台の Ski-Doo を昭和基地へ持ち込みました(調達は54次隊)。これで3台の Ski-Dooとなりましたが、その後58次隊が故障した2台を日本へ持ち帰りました。
第59次隊(2017年出発)以降はまだ報告書がないので判りませんが、もし新たなスノーモービルが持ち込まれてないとしたら、いま昭和基地で稼働可能なのは53次隊の持ち込んだ Ski-Doo 1台と、55次隊の持ち込んだ YAMAHA VK540-IV のみとなっているはずです。
とここまで書いてきたものの、実は報告書に記載されているのはブランド名の Ski-Doo のみで、Tundra なのか何なのかという細かい車種はありません。あとは写真での確認となります。日本の南極観測について Tundra LT の映っている写真を集めてみました。
2018年1月 再び、ラングホブデ氷河へ - 山岳ガイド 眞さんの山がいど日記
2017年1月 松原創船所: 「昭和基地開設60周年記念 南極まつり」行ってきた
2016年12月 越冬中のタコの仕事③ 除雪の合間に建築仕... 南極タコは走り続ける!
2015年4月 試される大陸、南極 : ルート工作訓練
2014年12月 (4ページ目)昭和基地開設から60年経った今でも難しい南極の電話事情|@DIME アットダイム 記事の日付ではなく写真の日付参照のこと。
おそらく昭和基地にある Ski-Dooはすべて Tundra LT だと思うのですが、いかがでしょうか。
南極での写真とメーカーのページ(あるいは上の2017年1月)の写真を見比べると判りますが、南極にある Tundra LT は標準仕様ではなく、フロントカウルの両脇にバックミラーオプションがついています。
ちなみに、よりもい第13話のスノーモービルですが・・・Tundraらしき車両が4台もある!!
これまで昭和基地には最大3台しかなかったと思いますので、かつてないツンドラ天国です。ヒャッホウ!!
よく見ると Tundra LT とはフロントカウルの模様や、後部座席に背もたれがある、後部の橇を結んでいる箇所など違いがありますが、日本の南極観測隊の活動でよく登場する Tundra LT がモデルと考えるのが妥当なところではないでしょうか。
Tundra LT はふたり乗りですので、その点も再現されています。
などなど、上の写真をみながら、想像をふくらませて作品を作って頂けると幸いです。
3.nanoblock について
さて、nanoblock の作り方について、nanoblock がはじめての方は、こちらの記事に最初から手順を紹介してますのでご覧ください。
本記事は「nanoblock 基本セットで作る」シリーズ と銘打っていまして、これはスタンダードカラーセットを1つ購入するだけで、「宇宙よりも遠い場所」に関わる南極nanoblock作品をぜんぶ同時に作って遊べるようにすることを目指しています。シリーズの一覧はこちらからどうぞ。
4.アイスオペレーション・設計図
今回のアイスオペレーションは前回に引き続き組作品となっています。
以前の作品「白石結月さん」に加え、今回新しく作るスノーモービルと橇を組み合わせて、「アイスオペレーション」というひとつの場面を制作します。
では、今回の設計図はこちらとなります。3つありますので、順番に作ってください。
「白石結月さん(スタンダードカラーセット)」
結月さんについては前の記事で作り方を紹介しました。
続いて「スノーモービル Ski-Doo Tundra LT」
nanoblock.infoこちらはスノーモービル単体の設計図です。
まるでかわいいワンコのようにも見えますね。そういえば、Ski-Doo は元は犬ゾリ代わりに使える車両という意味で Ski-Dog という名前でしたが、Dog を Doo と打ち間違えたのがきっかけで Ski-Doo になったという話があります。(参考)
最後に、今回の作品がこちらです。
nanoblock.info白石結月さんがアイスオペレーションで「死にますフゥー!!」している作品です。
斜めの接続が多いため、ややもろくなっています。あまり力をかけすぎないように!
5.改造のススメ
・フロントカウルは透明ブロックに置き換えると良いですね。
・フロントカウルの両脇に黒い耳をつけてあげると、昭和基地仕様のバックミラー付き Tundra LT になります。よりいっそうワンコに見えて可愛いかと思います。
・後ろの凹ジョイントは Ski-Doo Tundra LT にはない部分ですので、橇を引かないなら別のものにできます。
・橇はスタンダードカラーセットでは緑で作りましたが、例えばよりもい作品中では茶色です。
・よりもいのスノーモービルは形がやや異なりますので、そちらに合わせて変えてみても良いでしょう。4台作ってタンデムで場面再現することもできそうです。
・資料は上でたくさん紹介しましたので、もっと大きなサイズで Tundra LT を再現してみるのも面白そうですよ。
・あと、おまけですが、2019年3月のよりもい極地研コラボのとき、みんなの後ろにスノーモービルが展示されていました。こちらは、Ski-Doo Grand Touring Sport の2019年以前のタイプ。過去の隊が昭和基地へ連れてったのは極寒地用の Tundra ですので、たぶんこれは展示用に借りてきただけのように思われます。極地研コラボを再現?する際のご参考まで ^^;
6.おわりに
さて、最後まで無事完成されましたでしょうか?
お手元にナノブロック版のアイスオペレーションをお届けすることが出来ていれば幸いに思います。
ぜひともあなたの机の上で「死にますフゥー!!」をしちゃってください。
作ったり、改造したりした時には、Twitterで教えて頂けるととても嬉しいです。
(私のTwitterはこちら。 https://twitter.com/canalsphere)
それでは、ぜひ楽しい南極ナノブロックライフをお送りください!
2019年3月22日 ソガ