疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

小さきものたち

作家が道具的に手元へ描き置く絵。たとえば、わたしなら特定の絵柄を作ろうとするとき、眼の感じは、輪郭の具合は、といったん決めて描いておいて、以降の絵はそちらを参照しながら描くということがあります。複数の絵に対して、一定の要素を維持しながら描…

きみの色

赤のセロファンと緑のセロファンを重ねると茶色を作ることができる、この発見は小学生のわたしを大変よろこばせたのでした。 どういう授業だったかは忘れたのですが、B4くらいの黒い紙をくり抜いて、そこに色とりどりのセロファンを貼って、ステンドグラスみ…

つながる。

あごの線がなくなって首とつながるのは、絵を描いていればときどき起こることではありましたが、どうやら2021年の元旦以降の絵は突然この線がなくなり続けています。お正月になにかありましたか?たぶんたまたまそうなって、そのまま気に入ったんじゃないか…

アクションと名付け

小斬り、前歩き、大斬り。 2月ごろに描いたものです。左上はガードではないのか?と見えますが、小斬りのつもりでした。なんで斬りなのに武器を投げるのか、こういうことはよくあって、コントローラのボタンと紐づいたターミノロジーの面白さだと思っていま…

エンジン

飯塚さんとこで紹介されてた「てぃんくる☆ガーディアンズ」をぽちぽち進めています。クレジットを見たらClickteam Fusionというエンジンで動いてて、なんだろ、と調べてたのですが、Baba Is Youと同じエンジンでした。 2D、3Dくらいには分かれそうなものの、…

瞳の中の王国

ぐるぐる目の渦原さん / ぐるぐる目の渦原さん - 箕田海道 | サンデーうぇぶり www.sunday-webry.com 瞳の表象の存在論に触れるとき、ぐるぐる目に特別な地位を与える意識は注目しておきたく。 なんだろう。古典かつ今では常態としてぐるぐる目であることも…

描ける絵

そこに祭祀的な意味もないだろう、あまり素朴なかたちでもない、それなりの意匠をもつがしかし顔をちょっと描いてみたというだけの落描き。その歴史は意外に古いようですが、多くは現存していません。 (83)落書き(上)―役人の顔 - なぶんけんブログ (na…

ヴィネットとマクロフィリア

ダンジョン飯アニメ14話まで。第1期のOPはずっと見てられますね。静謐で。 ヴィネットってこれまで小さいものだと思ってたのですが、それが動きのあるポーズだったとして、音が聞えないのだと気づいた。ヴィネットのひとたちは小さいのではなく遠い。だから…

半島のアステリズム

トラペジウム見ました。 フィクションの悪いアイドルさんはお好きですか、と問われれば、まぁ、嗜む程度には。そうすると、光の者としての存在が古賀さんであって、なんと、タレントさんではなくそこにおられたのですね!と思いました。電話のむこうへ90度で…

対話についてのアンカー(7)

コンピュータと人間の間に対話があることと、コンピュータが条件分岐の機能を持つこととの関係は、それほど明らかではないようです。筋道を立てて考えてみたいと思います。 まず、人間がふだん何らかの条件に基づいて判断して行動を変えることと、コンピュー…

対話についてのアンカー (6)

このところ条件分岐のことを考えていましたが、条件が記述されること、選ぶ人がいること、分岐すること、この3つはそれぞれ独立していると言ってよいのかもしれません。このそれぞれについて、または幾つかを組み合わせた様子のなかに対話的な出来事を探して…

ゲームブックの記法について(4)行番号とパラグラフ

前回、構造化プログラミングという話が出てきたので、プログラミングとの比較でゲームブックの記法を際立たせてゆくこともできると思いました。 さて、ある時期、BASIC言語のプログラムとゲームブックのパラグラフ文に類似性を見ることはできたのですが、そ…

ゲームブックの記法について(3)もしも明日が

もしも明日が晴れであれば、遠くへ狩りにでかけよう。太古の人がそんな風に考えたかどうか知るすべはないのですが、もしも~だったら、という条件を想定することは、人にとってそこそこ昔から自然のことであったと想像されます。 条件と行動の組について、自…

対話についてのアンカー (5)

別の話を1つはさむつもりだったのですが、たまたま機会が巡ったので。機会というのは、ゲームブックにおけるコンピュータ以前・以後、とは?という吉田先生の話題で、最初の取り掛かりとしては《「フローチャートやパラグラフ選択」という形式自体がコンピ…

対話についてのアンカー (4)

これは会話型インタフェースにまつわるメモですが、同時に「対話」という言葉も採らなくてはならない状況について、そろそろ触れてゆく必要があります。論点が広く、それぞれに深められてもいないので、今はただアンカーを打っておくだけの部分が多くなりま…

対話についてのアンカー (3)

「対話」という言葉について確認しておくと、それはデジタルコンピュータの歴史において「ユーザとコンピュータのインタラクティブなやりとり全般」を指す比喩としても使われましたし、人間同士の対話に近いことを人間とコンピュータの間に実現する意味でも…

対話についてのアンカー (2)

Time Sharing System(TSS)についてアンカーした点を埋めてゆきたいと思います。 TSS前夜としては、そのアイデアを記したジョン・マッカーシーのメモ(1959年)が広く知られています。当時のデジタルコンピュータが実際どう使われていて、今後どう使えたらも…

対話についてのアンカー (1)

会話型インタフェースに関する通史をひとつ整理してみたら3時間ほどの話になったのですが、それでもそれぞれの項目が薄くはなってしまったので今後の取っ掛かりとなるアンカーを残しておきたいと思います。 そもそも人工物と会話するという観点の発生につい…

聖痕とヴィジョン

劇場アニメ「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」を観てきました。劇場前作は進路の話として、本作は母子の話として揺さぶられるところがありました。いずれも兄妹の動きが軸となるところも大いに好みでした。 映画館から帰ってきて、作中の概念で…

アリスとテレスのまぼろし工場

以下、映画「アリスとテレスのまぼろし工場」のネタバレはたぶんありませんが、TVドラマ「ねらわれた学園」(原田知世さん主演)のネタバレがあります。 上の本予告映像を映画館で見たときの「未来はあなたのものよ、でも、正宗の心は私のもの」という言葉が…

イメージの領域

映画「グリッドマンユニバース」の感想です。まず六花さんが、もう高校2年生だから、と言うところが好きでして、自分たちが変わった理由として学年を持ち出す言い方にわたしはいつも胸がざわっとするので、今回もまずはそこで立ち止まりました。もう〇〇だか…

ひといきの漫画

さて、夜闇にまぎれて今年あらたに読んだ漫画で好きな作品の話をしてゆきます。 加藤 龍勇「Scar Face」1-6巻 Scar Face 1 作者:加藤龍勇 Amazon Scar Face 6 作者:加藤龍勇 Amazon 加藤さんの漫画の境地に至れるなら今の自分の絵などはぜんぶ投げ出してよい…

報瀬誕ゲームブックの小話

(表紙下描き) 報瀬誕2022ゲームブック「プレゼント・デイ」のプリント&プレイありがとうございました! 本作は宇宙よりも遠い場所(よりもい)好きのひとが作ったよりもい好きのひと向けのゲームブックでした*1。 よりもい好きのひと向けということで、ゲ…

すずめの戸締まり(2)

感想ですよ(その2)

すずめの戸締まり

感想ですよ。

報瀬誕2022ゲームブック・折本の作り方

はじめに 11月1日は宇宙よりも遠い場所(よりもい)に登場する小淵沢報瀬さんのお誕生日です。おめでとうございます! 報瀬誕2022を記念して、みんなで報瀬さんをお祝いする内容のゲームブック(2分冊)を作りました。2冊あわせてパラグラフ数が18のミニゲー…

雨を告げる漂流団地

幼稚園から小学校にかけてのことを、間取りまで思い出してみましょう。自宅のなか、県営プールのなか、学校のなか、本屋さん、いつもの中華料理屋さん、すぐなくなったほうの中華料理屋さん。それらをつなぐ道、思い出せなくて途切れる道。連続した空間とし…

まぼろしの小さい犬

小さい犬の描かれた表紙を見て、果たしてこれはある一匹の犬をいろんな具合でたくさん描いたものなのか、いやもしかすると、なにかそうではないことを描いていて、まぼろしの犬は一匹どころかどんどん増えてゆくようなお話なのではないか(なんせまぼろしで…

彼女の向いたその先へ

CGの右と左のベクトル、表と裏のシルエットのことを長いあいだ考えています。 年末に制作したおでかけ結月さんキット、というのは突然でてきたものではなく、CGについて前からもっていたある考えを実際やってみたかったからでした。 紙人形の反転 こちらの紙…

森のなか

電子計算機と情報科学の歴史を追いかけていたらいろいろ面白くなってしまった、というのがまずあります。そこから他の興味についても見つめなおしてゆくとどうなるのかな、と。 それは、表現の変化だけだと思えるようなところに、なにか関係してやいないか。…