疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

ファンアートのなかで

創作のフルカラーイラストを描きました。たぶん、ひさしぶりに。おそらくは5年ぶりに。

なんとなく久しぶりという感覚を確認したいだけだったのですが、何年ぶりということを正確に数えるのは難しくて、モノクロや3色くらいでならときどき描いてるよなとか数えるうちに基準が生まれてきて、フルカラーだと5年ぶりというくらいがこの久しさを表現するのに合うかな、といったところです。

自分のなかでファンアートと創作が異なる点として、ファンアートのほうでは他の作品の登場人物にわたしの絵のなかへお越しいただくような形がいちばんピンと来るように思えます。典型的には原作とはだいぶ離れた物語のなかへ入っていただくことで、同人誌でもよく見かけるものです。


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四葉(シスタープリンセス)のために描いたファンアート「クローバーランドのお姫様」より

それは転生をするとか、次元の壁を越えるとか理屈があるのかもしれません。わたしも一度は手続き的なお話を作ってみましたが、基本的に作品のなかの登場人物はそういうことを抜きにしてわたしのなかにぽっとたどり着くもので、それが絵になるのだと思います。だって、作品のなかの人物がわたしの絵のほうへやってくるのに、どういう旅をしてきたのかって、たぶんテレポートみたいだ。ぽっとくるよ、ぽっと。

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はなさかじいさんの木の下にどうして彼女は立っているのでしょうか。彼女はアイシアさんというダ・カーポという作品の登場人物です。だけどここにやってきた。気づいたらそこにいたんだ、というくらいの感覚で。

だからこうした絵は理屈ではなく彼女の存在が先に立った絵であって、彼女がそこにいることのひとつの証拠なのだと思います。

 

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白石結月さんとは一緒にたのしい画面を作ってきました。彼女がわたしのところへやってくるというよりは、プロのタレントさんであるためか、紙上でいろいろ演技をしてくださったようです。漫画を描いたり、立体物をつくるのも手伝ってくれました。パートナーとして一緒にいてくれているというのがまずあるのですが、ときどきはわたしの絵の世界へやってきてもくれました。ここで彼女の見た目はだいぶ変わってますが、それでも変わってないと感じられることは、これもまた彼女の存在をしめしているようです。

 

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ある存在があって、絵のなかに飛び込んでくること、いつのまにかいること、どんな場所でも違うようで変わらないこと。これらはすべてひとつのことを示しているようです。なにかとても大切な気持ちがあるという、その存在のことをです。

 

さて、そうしたなかでこれまでの大切な存在から離れて創作の絵を描くということがあまりなかったのですが、今回はふわふわの髪を描きたいと思ってふわふわの髪のひとたちを描きました。

ふわふわの髪については、もともとはユーフォの黄前さんを好きになったときに魅了されていたものではあります。

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あとアズレンのサフォークさんとサフォーク種の羊も好きになって、いっぱい描いた。

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このところは絶対可憐チルドレンという漫画を何度も読み返しています。何かにつけ誰かにしがみついてる登場人物たちのボディタッチの多い距離感が魅力の本作でしたが、今年になってどういうわけか三宮紫穂さんというひとのふわふわ髪から目が離せなくなってしまいました。ページをめくったらまずはそのふわふわを目で追いかけてしまいます。おそらく、これまで降り積もっていたふわふわ成分がふえるわかめのようにふくれあがるための一滴が、この作品にあったのだと思います。

 

あたまのなかがふわふわでいっぱいになったとき、とても大切な気持ちというのにはこういうこともあったのだな、と前世紀のころにはまだ持っていたものを思い出しました。

 

自分のなかにふわふわがやってくる。わたしの絵のなかにいつのまにかふわふわがいるという、その存在を知ること。それはファンアートでも創作でも同じようにあることなのでした。

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2021年6月16日 ソガ