疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

インベントリと彼方の箱

わたしのインベントリ画面を更新しました。箱16から箱18までとそのほか下に載せたあたりです。

図書館から(9/1まで)
箱16
箱17
箱18
自室三段BOX中段
自室机上
自室黒猫紙袋

 

 

作業を終えるたびに未整理の荷物はあと5箱くらいかなという感覚でいますが、今回数えたらあと10箱ありました。自分の荷物の量を数えるのは苦手で引っ越しのときいつも困ります。

sosuisen-mybox.netlify.app

 

アイテムの種類と数が多い割にはインベントリを開く機会がないし、そもそも開くボタンが奥のほうにある、というゲームに幾度となく出会っています。育成対象の種類とその属性が増えるにつれ対応するアイテムも増えてゆくのですが、ゲームのほうで文脈に応じていま必要とされるアイテムの数と現在の在庫だけを提示してくれるので、わたしのほうでごそごそと倉庫ぜんたいを漁る必要はなくなっている、ということのようです。

 

ここで倉庫と言い換えましたが、インベントリという言葉は物品その他資産の目録を指すのであって、物品そのものや保管庫のことをいうのではありません。もともとは海外のゲームで聞いたのが初めてだったと思いますが、歴史的なものなのでしょうか。目録とは大量の物品の整理や実物を持ち歩くと不便な場合に作るもので、リュック一つで旅してるときにはいちいち目録は作らずにごろっと「やくそう」を入れておく感じがします。

 

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IDOLY PRIDE の所持品リストを開いてみると、別ページにリストアップされているアクセサリが所持品には含まれてないことに気がつきました。合成などで変化するアイテムは効率的に操作できる専用ページを持っていて、所持品としては特に変化しない消費財のみが配置されているのですね。ここでもう所持品から飛び出したアクセサリとは、目録上の操作だけで完結する手形のような側面が強くなっています。こういうことは特にインベントリ的な振る舞いであるように思えます。

 

もうひとつ、試みにインベントリ的・・と呼んでみた目録上の操作を挙げたいと思います。ブルーアーカイブでは生徒さんがそれぞれ装備品を持っており、これも上のアクセサリ同様、全体のアイテム欄には記載されない品となっています。装備品には素材を消費して Tierアップ(レベルアップ)する仕組みがあって、例えばマシロさんがかぶった「無地のキャップ」は「ニット帽の設計図」という素材15枚と合わせることによって「ニット帽」になるといった変化が起こります。

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一般に素材アイテムの合成を経て別のアイテムが生成されるとき、素材となったアイテムのほうがなくなることに不自然はないのですが、ここでは画面下のTIPSにある「装備していたアイテムはTierアップ時に、自動的に次のTierのアイテムへと置き換わります。」という感覚に注目したいと思いました。これはシステムとしてそのように動作することがそのまま書いてある(あるいはそう翻訳されている)のだとは思うものの、アイテムが物品として消費されるというよりは、置き換わってしまうニュアンスが前にでているようで、それは物品はそのままに目録だけを書き換える操作であるようにも思えるのです。装備品は全体のアイテム欄に含まれないため置き換えられた Tierアップ前の装備は二度と取り出してみることはできないのですが、マシロさんはもうかぶらなくなった無地のキャップをどこかへ大事にしまっているのかもしれません。

 

ここまでインベントリ的という言葉はじっさいの物品とその目録とをいったん分ける意図で用いてきました。ゲームにおけるアイテムの提示は、いくらかの度合いで目録のようであったり、そうでなかったりするようです。目録は効率的な処理に適しているのでプレイヤーのクイックな操作感にも響いてそうだな、というのが今回おもったことではあるのですが、目録というのはずっと慣れ親しんできた別の側面を伴っていることも思い出しておきたいと思います。

 

まずは同じくブルーアーカイブからアリスさんの装備品を見てみましょう。ここにはアイテムの箱書き、あるいは書付ともいうべき解説文があります。(個人的にはアイテム文として飯塚さんが日頃言及しておられる話題が想起されることです。)

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誰が書き残したかは判らない書付です。アリスさんではないし、先生さんかどうかも判らない、またそういう風に具体的に求めることはできないのかもしれないです。ともあれ、こうした文も物品を言語的に表現する目録としての度合いから生まれているように思われます。目録の機能を保ったまま肉付けを試みるならば、それは物語と呼ぶにははるかに短い書付となるのではないでしょうか。交通安全のお守りを「振ってみると、中からジャラジャラという金属っぽい音がする。」という短文に触れるとき、その行為主の姿が一瞬見えたようで、やはり手が届かないという驚きがあります。お守りの中から音が聞こえてくるという素朴な可笑しさもあります。ただ、この書付がわたしの中に深くしみわたったあとで、じっさいのお守りが物品として遠く思いを馳せるものとなったのも確かでした。それはたぶん、どこかの箱のなかで大事にしまわれているのです。