1.はじめに
私は nanoblock(ナノブロック)と呼ばれる世界最小級のブロックで、南極や、宇宙よりも遠い場所(よりもい)に関する作品を作っています。手のひらに乗るサイズの可愛くて細密な立体物を作れるところが気に入っています。
nanoblock は出来合いの素敵なキットがたくさん販売されていますが、もちろん自分で考えて作品を組むこともできます。この記事では、そのなかで考案した南極観測船しらせ5003(よりもいでは「ペンギン饅頭号」)の作り方について紹介したいと思います。上の写真にあるのが完成品です。
必要なものは nanoblock の基本セット「スタンダードカラーセット」(NB-023)だけですので、初めての人でも手をつけやすい作品になっているかと思います。
2.箱の中身はなんじゃろな?
さて、このスタンダードカラーセットですが、中身はどんなものでしょうか。
箱を開けると、全部で850ピースある7色のブロックが出てきます。
ブロックは小さいので、なにか別の箱に移しましょう。どんな箱でも構いませんが、お近くの100円ショップで蓋付きの透明な整理ケースを買ってくるのがお薦めです。
箱に移すとこれで全部です。こうして見ると850個と言っても意外と少ない気がします。
上の写真は、ブロックの形で分類したものです。このセットにはおよそ12種類の形のブロックがありますので、4つに区切られた整理ケースが3個あれば整理できます(1枚だけ大きなプレートがあるのではみ出すかもしれません)。分別には30分弱かかるかと思いますが、はじめにこれをやっておくと後々楽になるのでお薦めしておきます。プラモデルのパーツをランナーから切り離す作業と同じようなものです。
整理して、取り出して、遊び終えたらまた必ず元の場所へ戻しましょうね。
(今回はブロックの形だけで分けてますが、今後ブロックの数が増えると色別でも分けてゆく必要があります。これはまぁ、ナノブロック沼にはまった後の世界の話ですが・・。)
3.いざ、組み立て
nanoblock のキットには通常、判りやすい設計図が付いてきます。こちらはキットではないので、オリジナルの組み方の手順をお伝えする必要があります。
こういう場合は、あっきーさん(https://twitter.com/hom2yant , サイト nanoblock.info)開発のナノブロック設計図メーカーを使うと、いろんな角度から見た目を確認しながら組み方の手順を説明できます。今回のしらせの設計図はこちらに載せましたので、ご利用ください。
しらせ5003(スタンダードカラーセット)
https://nanoblock.info/ndd/?mode=view&id=52
「Clear All」ボタンを押すと始まります。その後は、「Next Step>」ボタンを押して進めてください。設計図はマウスやピンチイン・アウトで拡大縮小できます。
今回は以下に展開写真も用意しました。しらせの組み立てはほとんど下から上に積んでゆくだけですので、写真でも充分理解できるかと思います。
しらせを作るのに必要なブロックは、オレンジ、白、赤、黒の4色がほとんどなので、この4色に注目してくださいね。
A) 船のまんなか(第2甲板~01甲板)を作成
まずは、喫水線より上の部分から飛行甲板あたりまで(第2甲板~01甲板)を作りましょう。
必要なのは、オレンジ、白、黒の3色のみです。間違って赤を使わないように注意してください。オレンジと赤は割と似ています。
下の写真では、ナノブロックパッドと呼ばれるゴム製の黒いパッドの上に、ブロックを並べています。このパッドがあるとブロックを並べやすいですが、使わなくても作れますので無視して構いません。
さて、写真は下から1段目、2段目、3段目、4段目となっており、これを下から上へ順に積んでゆくだけで完成します。では、やってみましょう。
A-1) 1段目に2段目を積む
1段目の上に2段目のブロックを積んでください。下の写真のようになります。左右の位置がずれないように注意してくださいね。
2段目の左端は1x3のブロックとなっています。これを写真のようにちょうど中央となるよう、縦に半ブロックずらして積んでください。
nanoblock はこのように半ブロックずらすことで、細かい段差を表現できるようになっています。
A-2) 2段目に3段目を積む
2段目の上に3段目のブロックを積んでください。
A-3) 3段目に4段目を積む
3段目の上に4段目のブロックを積んでください。空きが多いので、積む位置に注意してください。
B) 船の上のほう(02甲板~05甲板)を作成
続いて、艦橋がある船の高いところも作ってゆきましょう。
必要なのは、引き続き、オレンジ、白、黒の3色のみです。
写真は再び下から1段目(上のAで完成した部分)、2段目、3段目、4段目となってますので、これを下から上へ順に積んでゆきましょう。
B-1) 1段目に2段目を積む
1段目の上に2段目のブロックを積んでください。もうそろそろ慣れてきましたよね。
B-2) 2段目に3段目を積む
2段目の上に3段目のブロックを積んでください。
B-3) 3段目に4段目を積む
3段目の上に4段目のブロックを積んでください。
4段目の左端の1x4の黒いブロックが艦橋を表現しています。見栄え重視で黒にしていますが、実際の艦橋はもっと白に近いので、お好みで白にするのも良いかと思います。
C) その他の上部構造(クレーン、煙突、コンテナ)を作成
大まかな形は出来てきましたね。あとは船の上に乗っているクレーンや煙突、貨物を積んでゆきましょう。
C-1) デッキクレーン(前)
艦首側にあるデッキクレーン2台を乗せましょう。下の写真のように白色のクレーンを2つ作って、艦首に乗せてください。
C-2) 12ftコンテナ
船に12ftコンテナをたくさん積みましょう。このコンテナがあると見た目のしらせ5003らしさが増します。
しらせ5003が積むコンテナの色は、緑か空色か白のいずれかですが、ここではスタンダードカラーセットに含まれる緑で作りましょう。
1x1の四角い緑のブロックを3つ積んだものを、4つ作ってください。
このコンテナは下の写真のように差し込んでください。
C-3) デッキクレーン(後)
船の後ろにある格納庫の上に、デッキクレーンを2台乗せましょう。
下の写真のように白色のクレーンを2つ作って、コンテナをまたぐように乗せてください。
C-4) 煙突
煙突が2本あるのもしらせ5003の見た目の特徴です。頭を可愛いく飾ってあげましょう。
オレンジ色のブロック2つと黒色のブロック1つで1本の煙突を作ります。これを2本作ってください。
煙突は下の写真のように立ててあげてください。
C-5) マスト
最後にマストを立てましょう。
マストは下から、白い円柱、白い円柱、黒い円柱、白い角柱、てっぺんに黒くて1つだけポッチの付いた 1x2のブロック、の順で積みます。
マストは下の写真のように立ててください。これで喫水線より上は完成です。
D) 船の底のほう(第3甲板~第4甲板)
最後に船の底のほうも作りましょう。まずは、これまで作ってきた船を倒してください。裏面はこんな風になっているでしょうか?
特に左端にある 2x2のオレンジのブロックについて、裏面の向きは下の写真と合っていますでしょうか?違っている場合は90度回転させて向きを合わせてください。
ここから先は、赤色のブロックを使います。オレンジ色と間違わないよう注意してください。
D-1) 第3甲板
赤いブロックを裏面に貼り付けてゆきます。下の2枚の写真を見比べながら、作業してください。これまでより少しだけ難しい作業となりますが、頑張ってください!
D-2) 第4甲板
船底と、スクリュー(白色x2基)、舵(赤色x2基)を取り付けます。こちらも下の写真2枚を見ながら作業してください。舵の取り付けは難しいですが、適度に力を抜いて、全体を崩さないように注意してやってみてください。
E)完成
完成です!おつかれさまでした!!
付属の黒いプレートの上に乗せるとちょっとしたお部屋の飾りになります。
デッキクレーンは動かして遊ぶこともできます。たっのしー!!
4.改造のススメ
これでひとまずは完成ですが、ぜひともお好きなように改造してみてください。
改造のポイントをいくつか紹介したいと思います。
4-a) 色の修正
下の写真では、色をもう少し実際に近づけたバージョンを紹介しています。
スタンダートカラーセットには入っていない色なので、単色部品を公式通販で買うか、他のキットを買ってそこから取ってくる必要があります。
下の写真のしらせの主な修正点は次の通りです。
・艦橋を黒からライトグレーへ変更
・飛行甲板と艦首の貨物庫扉を黒からダークグレーへ変更
・デッキクレーンを支えるパーツを白からクリア(透明)へ変更
・救命艇(オレンジ)を支えるパーツを白からクリアへ変更
・スクリューを白からグレーへ変更
・煙突の位置を特殊なブロックで調整
なお、実際のしらせ5003の船体は白ではなくアイボリーです。ナノブロックにもアイボリーはありますが、必要なパーツを集める難易度が高いため、白を用いています。難しいですが、アイボリーに挑戦してみるのも良いかも?
4-b) 形の修正
今回のしらせはプレート一枚に収まるサイズで可愛く制作しましたが、その分、飛行甲板が実際よりだいぶ狭くなっています。
下の写真では、飛行甲板を実際に近い比率となるよう拡張しました。
飛行甲板を広くするのはちょっと難しいですが、ぜひチャレンジしてみてください。
こちらのしらせの主な修正点は次の通りです。
・4-a)と同様の色の修正
・飛行甲板の拡張
・煙突の後ろに減揺タンクを追加
・格納庫の上に発着艦管制室を追加
・後部デッキクレーンの形状を実際に近づけた
・飛行甲板の下に右舷と左舷をつなぐ通路をつけた(写真では見えない)
・コンテナ列の間にセルガイドを追加(写真では見えない)
・コンテナの最下部に冷凍コンテナをアイボリー色のブロックで追加。
4-c) ジオラマの制作
プレート上に地形を作ることで、ジオラマを制作することができます。
付属のプレートは黒色ですが、海っぽいクリアブルーのプレートや白のプレートも販売されてますので、南極っぽい風景を作るのに困ることはありませんね。
5.おわりに
さて、最後まで無事完成されましたでしょうか?
お手元にナノブロック版のしらせ5003&ペンギン饅頭号をお届けすることが出来ていれば幸いに思います。
作ったり、改造したりした時には、Twitterで教えて頂けるととても嬉しいです。
(私のTwitterはこちら。 https://twitter.com/canalsphere)
今後、スタンダードカラーセットを使った他の南極作例や、セットの制限なしで制作したオリジナル作品も、順次紹介してゆきたいと思います。
この先、いろいろ改造したり作ったりしたいなー、と思った方のために、幾つか参考となるサイトも紹介しておきますね。
・ブロックの集め方(あっきーさん)
https://nanoblock.info/blog/log/eid170.html
・あると便利な100均アイテム(あっきーさん)
https://nanoblock.info/blog/log/eid248.html
・ナノブロックアワード(力作がたくさん)
https://www.nanoblock-award.com/portal?bid=207
それでは、ぜひ楽しい南極ナノブロックライフをお送りください!
2019年1月17日 ソガ