疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

読書ノート「狂えるオルランド」

狂えるオルランド

狂えるオルランド

  • 作者: ルドヴィコアリオスト,Ludovico Ariosto,脇功
  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 2001/08
  • メディア: 単行本
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本記事は、アリオスト「狂えるオルランド」(脇功訳)の個人的な読書ノート兼インデックスです。
シャルルマーニュ伝説を題にとって、幾多の英傑・ロマンス・魔法・そしてあられもない殺戮に溢れる本作品の魅力は、それらを紡いで一つの物語とする、名剣、名馬、その他魔法の品が人から人へと渡り歩く様子にも見ることができます。

そこで交錯する人と物のうごきは初見では複雑すぎて手に負えないため、最後まで流し読みして興味のあるところだけを拾ったり、ということを繰り返しながら読み進めています。

以下は、誰がどこでなにをしたか、という点について、とくに武具や魔法の品の持ち主の変遷に注目して作りつつある私のノートです。「狂えるオルランド」は巻末に詳細な索引がありますが、時系列までは判りませんので、別途、電子的な検索が可能なように書き出してみました。せっかくなので、他の人が本書から情報を探す際の助けになるかもと思い、ここに掲載しました。

 

第1歌から順に書いており、アイテム登場時には私の書いたコラムを載せています。コラムだけは少し読み物風ですので、別途そちらだけ読むには、下のリンクよりジャンプしてください。

 

 

コラム:天馬【イッポグリーフォ】(ヒポグリフ)

コラム:【魔法の盾】(アトランテの盾)

コラム:【魔法の指輪】

コラム:魔女アルチーナとキルケー

コラム:名剣【バリサルダ】

コラム:名馬【ラビカーノ】

コラム:【黄金の槍】

コラム:名剣【ドゥリンダーナ】(デュランダル)

コラム:【ヘクトルの甲冑】

コラム:【魔法の本】

コラム:【魔法の角笛】

コラム:名馬【ブリリアドーロ】

 

《注意》

登場人物が多いため、忘れないように人物名には必ず称号をつけています。称号は作中のものもあれば、私が勝手に付けたものもあります。

パラディン(十二勇士)については、作中でそうと判る者は必ずパラディンとつけています。 

また、イメージしやすいよう、判りにくい地名はなるべく現代地名のほうを用いました。現代地名は本書の註釈に記載された推測も含みます。

「狂えるオルランド」の実質的な前編にあたるボイアルド「恋するオルランド」にも少しだけ触れていますが、基本的には「恋するオルランド」の内容は含んでいません。

個人的な興味に基づくノートのため、ばっさりと省略されている人物やエピソードがありますのでご注意ください。しかし、読み直すごとに追加したい人物が増えており、いつまで経っても未完成のノートとなっております。

 

 

■ 第1歌
・アフリカ王アグラマンテの率いるイスラム教徒の軍、父王の仇討ちのため西ローマ皇帝シャルルの治めるフランスへ侵攻する。
・皇帝シャルルのパラディン・オルランド(ローラン)、中国(カタイ)の美姫アンジェリカと共に皇帝シャルルの軍へ帰参する。
・皇帝シャルル、パラディン・オルランドとその従弟のパラディン・リナルドの恋の火種であった美姫アンジェリカを召し上げ、イスラム軍との合戦の恩賞と定める。
・皇帝シャルルの軍、ピレネーにてイスラム軍に敗走する。
・美姫アンジェリカ、皇帝シャルルの軍を抜け故郷へ逃走する。
・パラディン・リナルドの愛馬【バイアルド】、主の恋するアンジェリカを追跡する。
・美姫アンジェリカ、居なくなった愛馬【バイアルド】を探すパラディン・リナルドと、イスラム騎士・フェッラウに追われる。
・美姫アンジェリカ、カフカス(チルカッシア)の王・イスラム騎士サクリパンテを籠絡し、用心棒とする。
・カフカス王サクリパンテ、通りすがりの女騎士ブラダマンテと戦って打ち落とされる。ブラダマンテはパラディン・リナルドの妹である。
・カフカス王サクリパンテ、森を彷徨っていた馬【バイアルド】を奪った後、パラディン・リナルドと遭遇する。


■ 第2歌
・パラディン・リナルド、カフカス王サクリパンテと戦う。
・美姫アンジェリカ、逃走し、通りすがりの隠者に助けを求める。隠者、パラディン・リナルドとカフカス王サクリパンテを謀り、パラディン・リナルドは愛馬【バイアルド】と共にパリへ帰還する。皇帝シャルル、パラディン・リナルドをブリタニアへ派遣する。

・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロ(ロジェロ)を探して放浪する。ふたりが恋人同士となった経緯が語られる。
・女騎士ブラダマンテ、悪党ピナベルと出会い、天馬【イッポグリーフォ】を駆る妖術使いアトランテが【魔法の盾】を使って、イスラム騎士ルッジェーロとセリカーナ(中央アジア)の王・イスラム騎士グラダッソを捕らえた話を聞く。
 グラダッソは後にオルランドの名剣【ドゥリンダーナ】を手に入れる王(第30歌)。

・悪党ピナベル、女騎士ブラダマンテを謀って、洞窟へ落とす。

                                                                                              


《コラム:天馬【イッポグリーフォ】(ヒポグリフ)》
・第4歌の解説によると、ウラル山脈(リフェイの山)にまれに産する生き物。雌馬と牡鷲の間に生まれ、羽毛と翼、前足と頭、鼻面は鷲のそれ、ほかの肢体は馬のそれ、という姿で空を飛ぶ。魔法が生んだものにはあらず、正真の生き物である。
・本書中では天馬と訳されることがある。
・註釈によると、作者アリオストの想像の産物であり、ギリシャ語源のイッポ(馬)とグリーフォ(猛禽)からなる造語とある。
・後に、ヒポグリフの名で英語に編入される。
・はじめの持ち主は妖術使いアトランテ(第2歌)。その後、アトランテの養育した子、イスラム騎士ルッジェーロの手に渡るが、これはルッジェーロを死の定めから遠ざけようとしたアトランテの企みである(第4歌)。
 その後、魔女メリッサ(第8話)と魔女ロジスティッラ(第10歌)が預かり、再びルッジェーロが騎乗する(第10歌)が、その後、ルッジェーロはイッポグリーフォをうっかり逃がしてしまう(第11話)。逃げたイッポグリーフォは元の持ち主アトランテのもとへ帰る(第22歌)。のちにパラディン・アストルフォがアトランテの魔法を破った際、残されたイッポグリーフォを手に入れる(第22歌)。アストルフォは諸国漫遊ののち、使徒ヨハネの指示を受けてイッポグリーフォに自由を与える(第44歌)。

                                                                                              


《コラム:【魔法の盾】(アトランテの盾)》
・強い光を発し、見た者は視力も感覚をなくして失神する。
・普段は布で覆っておく。
・はじめの持ち主は妖術使いアトランテ(第2歌)。その後、アトランテの養育した子、イスラム騎士ルッジェーロの手に渡る(第4歌)。ルッジェーロの冒険で盾の魔力は4度用いられた後、ルッジェーロは盾を井戸へ沈めて封印する(第22歌)。


■ 第3歌
・女騎士ブラダマンテ、洞窟の奥にあるマーリンの墓へ辿り着き、魔女メリッサおよびマーリンの霊より予言を与えられる。
・魔女メリッサ、イスラム騎士ルッジェーロを救うために、盗人ブルネルの持つ【魔法の指輪】を奪うよう女騎士ブラダマンテに指示する。

                                                                                              


《コラム:【魔法の指輪】》
・指に嵌めるといかなる魔力も効き目がなくなる。口に含むと含んだ者の姿が消える。
・「狂えるオルランド」の実質的な前編にあたるボイアルド「恋するオルランド」から登場する指輪。
・はじめの持ち主は美姫アンジェリカ。その後、アフリカ王アグラマンテが盗人ブルネルに命じて、アンジェリカから盗ませた。
・続く「狂えるオルランド」ではブルネルから女騎士ブラダマンテの手へ(第4歌)、ブラダマンテから魔女メリッサ(第7歌)、メリッサからイスラム騎士ルッジェーロ(第7歌)、ルッジェーロからアンジェリカの手の元へ、指輪は元の持ち主へと奇しくも帰ってくる(第10歌、第11歌)。


■ 第4歌
・女騎士ブラダマンテ、盗人ブルネルから【魔法の指輪】を奪いとる。
・女騎士ブラダマンテ、ピレネー山の妖術使いに挑戦する。
・妖術使いアトランテ、天馬【イッポグリーフォ】を魔法で呼び寄せ、苦労の末、乗りこなした経緯が語られる。
・女騎士ブラダマンテ、【魔法の盾】を逆手にとって妖術使いアトランテに勝利する。
・妖術使いアトランテ、イスラム騎士ルッジェーロの育ての親であることを告白した後、逃走する。
・妖術使いアトランテの魔法が解けて、セリカーナ王グラダッソ、カフカス王サクリパンテ、イスラム騎士ルッジェーロらが解放される。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロと抱擁する。
・天馬【イッポグリーフォ】、ブラダマンテの手から身を躱し、妖術使いアトランテの企みによってイスラム騎士ルッジェーロを背に乗せて、空へ飛び去る。
 【魔法の盾】は天馬イッポグリーフォの鞍に懸けられたまま、イスラム騎士ルッジェーロと共にゆく。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロの愛馬【フロンティーノ】を連れてゆく。

・パラディン・リナルド、嵐に遭い、スコットランドへ辿り着く。


■ 第5歌
・パラディン・リナルドと愛馬【バイアルド】のスコットランドでの冒険。


■ 第6歌
・パラディン・リナルドと愛馬【バイアルド】のスコットランドでの冒険(続き)。

・天馬【イッポグリーフォ】、妖術使いアトランテの企みにより、イスラム騎士ルッジェーロをインドの島へ降ろす。
・イスラム騎士ルッジェーロ、天馬【イッポグリーフォ】をミルトの木に繋ぐ。
・イスラム騎士ルッジェーロ、イギリスの王の継嗣、パラディン・アストルフォが、魔女アルチーナの魔法でこのミルトの木に変えられていることを知る。
 パラディン・アストルフォは、ルッジェーロの恋人ブラダマンテの従兄弟。つまり、その兄のパラディン・リナルド、パラディン・オルランドとも従兄弟にあたる。
・イスラム騎士ルッジェーロ、天馬【イッポグリーフォ】を乗りこなせないため、手綱を引いて魔女アルチーナの妹、善き魔女ロジスティッラの国を目指す。
・イスラム騎士ルッジェーロ、魔女アルチーナが配した怪物に苦戦するも、【魔法の盾】はずるいと考えたためか使用せず。

                                                                                              


《コラム:魔女アルチーナとキルケー》

 魔女アルチーナはすぐ恋に落ち、しかし、たちまち心が変わる移り気な魔女であり、新たな勇者を誘惑し、古い恋人は島の木や石や泉、獣へと魔法で変身させてしまう。「狂えるオルランド」ではアストルフォとルッジェーロがアルチーナに誘惑され、アストルフォはミルトの木に変えられてしまった。
 「狂えるオルランド」は他の多数の物語を参照しており、魔女アルチーナのエピソードも「オデュッセイア」に登場するキルケーを参照している(アリオスト「狂えるオルランド」訳者まえがき、ブルフィンチ「シャルルマーニュ伝説」まえがき)。
 ただし、「オデュッセイア」(松平千秋訳)のキルケーは館への来訪者を魔法で獣に変える一方、ひとりオデュッセウスだけを愛した女神である。このキルケーは時代を下るにつれ悪女としての属性が加えられてゆく。
 「狂えるオルランド」に影響を与えた物語のうち、ウェルギリウスの「アエネーイス」とオウィディウス「変身物語」のキルケーについて紹介する。「アエネーイス」では、薬草を使って人間を獣に変える魔女キルケーの住む魔の島と、キルケーが男を嫉妬でキツツキに変えた話が紹介されている。また、ギリシア神話の種本として広く知られる「変身物語」では、キルケーが恋に溺れやすい女性であることが示される。《その性分からいって、彼女ほど、このような恋の情熱に溺れやすい女はなかったのだ。ただし、それが彼女自身の本質に根ざしたものなのか、それとも、彼女の父の太陽神によって情事をあばかれたウェヌス女神が、腹立ちまぎれに彼女をそんなふうにしたのかは、わからない。》(中村善也訳)ただし、キルケーは自らの恋の果てに、敵と思われる相手にこそ変身術を用いた。「変身物語」では、惚れた男に振られた怒りでこの男をキツツキに変えた。また別の場面では、キルケーを振った男が愛した女のほうを怪物(スキュラ)へ変えた。
 後世において、キルケーが移り気であり、お気に入りの男に飽きたら動物へ変えてしまうという描写が時々見られるが、初出は明らかでないと思われる。例えば19世紀に書かれたブルフィンチの「ギリシア・ローマ神話」にそのような描写は見られない。ギリシア神話とは、時代を経てギリシア悲劇のような創作とともに編み上がっていったものである。ヒューギヌス「ギリシャ神話集」は何らかの形でギリシア神話を利用したい古代ローマの作家のための参考書として企図された可能性が指摘されており(松田治・青山照男、訳者まえがき)、こうした幾つもの種本の中や創作のどこかにこの新たな悪女キルケーもきっと紛れているのだろう。
 オウィディウスによって恋に溺れやすい女とされ、また恐るべき変身術の使い手とされたキルケーのふたつの性質は時代とともに次第にひとつへ混ざってゆき、アリオストが「狂えるオルランド」を執筆した16世紀にはもう、移り気であり、古い恋人を獣に変えるキルケー像も、物語の作り手のなかに育てられていたものと思われる。

 

■ 第7歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、魔女アルチーナの魔法で魅了され、愛を営む。
・魔女メリッサ、女騎士ブラダマンテから【魔法の指輪】を受け取り、インドの島へ。
・魔女メリッサ、イスラム騎士ルッジェーロの小指に【魔法の指輪】を嵌めて、魔女アルチーナの魅了を解く。【魔法の指輪】はルッジェーロのものとなる。
・イスラム騎士ルッジェーロ、名剣【バリサルダ】を佩き、【魔法の盾】を取り、パラディン・アストルフォの愛馬【ラビカーノ】に乗って魔女アルチーナの元から逃走。天馬【イッポグリーフォ】は魔女メリッサに託される。

                                                                                              


《コラム:名剣【バリサルダ】》
・イスラム騎士ルッジェーロ(ロジェロ)の持つ魔法剣。鍛えに鍛えた鋼も、魔法の鎧さえも切り裂く。

《切れ味鋭き名剣のバリサルダの前にあっては、楯もいっかな身を守る役には立たず。》(第41歌75)
・タタール王マンドリカルドが身につけた魔法の鎧【ヘクトルの甲冑】と打ち合わせた際、兜への一撃は弾かれる様子だった。《たとえ名剣バリサルダ、したたかに相手を撃っても、ヘクトルの魔法の兜の前にては空しいことであったろう。》(第30歌55)
・しかし、脇腹のおそらくは鎧の隙間を突いた際にはマンドリカルドの体を切り裂いた。《だがルッジェーロ、間髪いれず、馬を駆り立て、マンドリカルドの右の腹へと一撃加える。狙って過つことなきその名剣の前にては、選りに選り、鍛えに鍛えた鋼さえ いささかも役には立たず。それというのも 魔法の剣バリサルダ、その切れ味の前にては、魔法の鎧も、魔法の鎖帷子も、なんの効き目もないように鍛造されていたゆえに。その剣、触れたところを切り裂いて、タタール武者の脇腹に傷を負わせば、》(第30歌59-60)。
・元の持ち主はパラディン・オルランド。その後、盗人ブルネルの手を経てルッジェーロの手に渡った(第25歌 訳注3。第41歌26-27。「恋するオルランド」で語られたエピソードである)。
・ルッジェーロの船が難破した際に、バリサルダはパラディン・オルランドの元へ流れ着く(第41歌)。オルランドはアフリカ王アグラマンテとセリカーナ王グラダッソをバリサルダで斬り殺した後(第42歌)、友情によりルッジェーロへバリサルダを手渡す(第44歌)。

                                                                                              


《コラム:名馬【ラビカーノ】》
・炎と風から生まれた馬。餌を食べず、澄んだ大気でその身を養う。
・《その馬いと軽やかに駆けるゆえ、砂地にも蹄の跡を残さすことなく、草をも、雪をも踏みにじることなく、海にて足を濡らすことなく、駆けるに疾きこと、あたかも風や、電光や、矢のごとし》(第15歌40)
・「恋するオルランド」では、美姫アンジェリカの兄アルガリアの馬。イスラム騎士・フェッラウがアルガリアを追って討ち取る前に、フェッラウの手によって解き放たれる。
・その後、「狂えるオルランド」では、アストルフォの愛馬となる。経緯は次の通り。

 

 まずは、馬虎書房様の「恋するオルランド」邦訳より、

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-1.html

  アルガリアとラビカン(ラビカーノ)登場。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-2.html

  フェッラウ、馬(ラビカン)を解放。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-5.html

  リナルドの愛馬バヤール(バイアルド)はパリに居ることが語られる。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-7.html

  アストルフォ、パリよりリナルドの捜索に出かける。

  持ち主に返すためバヤールに乗って旅立つ。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-7.html

  アストルフォ、アルブラッカ包囲軍の捕虜となり、バヤールはタタール王アグリカン(アグリカーネ)のものとなる。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-9.html

  ラビカン、生まれ育った洞窟に帰り、巨人とグリフィンたちの保護の下、安全に暮らす。

  リナルド、巨人とグリフィンを倒してラビカンを得る。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-12.html

  リナルド、ラビカンに騎乗し、マルフィーザと戦う。

  オルランド、アグリカンを倒し、その馬がバヤールであることに気づいて、バヤールに騎乗する。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-18.html

  バヤールに乗ったオルランドと、ラビカンに乗ったリナルドが決闘する。

  リナルド、戦場でアストルフォを救援し、裏切り者テュッフラディノをラビカンのしっぽにくくりつける。

  アンジェリカの願いで、オルランド、愛馬ブリリアドロ(ブリリアドーロ)に乗って冒険に出かける。

  アンジェリカ、バヤールをリナルドへ贈る。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-1.html

  リナルドとアストルフォ、共に出発する。

  リナルドが悪漢アリダノに倒され、アストルフォは救出した乙女をラビカンに乗せて、自分はバヤールに乗ってその場を去る。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-6.html

  オルランド、悪漢アリダノを倒し、魔女モルガナに捕らえられたリナルドらを解放する。

  リナルドは皇帝シャルルの元へ向かう。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-7.html

  馬がないため、リナルドは徒歩で旅する。

  リナルド、巨人バリサルドに敗北し、モノドンテ王に捕らえらる。

  リナルド、同様に捕らえられていたアストルフォと再会する。

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-8.html

  オルランドの活躍で、リナルド、アストルフォら、解放される。

  リナルド、アストルフォはフランスへ向かう。

  (おそらくこの時点でリナルドは愛馬バヤールに乗り、アストルフォはラビカンに乗っていると思われる。)

 ・http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-9.html

  アストルフォ、馬に乗ったまま巨大な鯨に連れ去られる。

  リナルド、バヤールに騎乗してドゥトンを救出する。

 

 以降は、「狂えるオルランド」より

 ・アストルフォ、魔女アルチーナの魔法でミルトの木に変えられる(第6歌)

 ・イスラム騎士ルッジェーロ、ラビカーノをアルチーナの元より連れ出して(第7歌)、魔女ロジスティッラの国でアストルフォに返却する(第10歌)。
 ・アストルフォは後に天馬イッポグリーフォを手に入れた際、ラビカーノを従姉妹の女騎士ブラダマンテに預ける(第23歌)。

 ・その後はブラダマンテの乗騎として活躍する。

 

 以上、初めは「恋するオルランド」での出来事がよく判らなかったのですが、こちらでご指摘を頂きましたので追いかけることができました。 https://twitter.com/repunkuratuy/status/1074955421830471680 j_ou no 様、有り難うございます。

 (2018/12/19追記:j_ou no 様がイタリア語原文でも確認されたので、ぜひこちらを。 https://note.mu/repunkuratuy/n/n7520dfffe048


■ 第8話
・イスラム騎士ルッジェーロ、魔女アルチーナの追っ手が非武装の下郎や動物であったため、剣を振るのは大人げないと考え、【魔法の盾】を使用する。
・魔女メリッサ、イスラム騎士ルッジェーロが一時的に貸した【魔法の指輪】でパラディン・アストルフォの変身を解き、アストルフォは人の姿に戻る。
・魔女メリッサ、魔女アルチーナの虜囚たちの変身を解く。
・魔女メリッサ、魔女アルチーナがパラディン・アストルフォから取り上げた【黄金の槍】を探し、アストルフォへ返す。
・魔女メリッサ、天馬【イッポグリーフォ】に跨がり、後ろにアストルフォを乗せて、魔女ロジスティッラの国へ飛ぶ。

・パラディン・リナルド、スコットランドからロンドンへ。

・美姫アンジェリカを助けた隠者(第2歌)、アンジェリカを魔法の罠に嵌め、汚そうとする。
・美姫アンジェリカと隠者、ヘブリディーズ(エブーダ)の島人たちに捕らえられる。
・島人ら、裸のアンジェリカをブルターニュの海岸の岩に鎖で繋ぎ、鯱への生け贄とする。

・パラディン・オルランド、美姫アンジェリカを探すため出奔する。
・シャルルの騎士ブランディマルテ、親友のパラディン・オルランドを追って旅立つ。

 ブランディマルテは「恋するオルランド」より登場するパラディン・オルランドの親友。
 元イスラム教徒。皇帝シャルルの騎士のひとりであるが、パラディンではない(※)。

 ※参考:
  馬虎書房 http://ayutori.web.fc2.com/idylls/dabun/retuden.3.html

                                                                                              


《コラム:【黄金の槍】》
・「恋するオルランド」ですでに語られた槍。
 槍先に触れれば、たちまちいかな相手も鞍から落ちる魔法の槍である。
 元は美姫アンジェリカの兄アルガリアの槍であり、皇帝シャルルの御前試合ではパラディン・アストルフォををたたき落とした。
 続く試合の後、逃走したアルガリアの残した槍をアストルフォが拾って持ち主となる。

 (参考:トマス・ブルフィンチ「シャルルマーニュ伝説」)

・「狂えるオルランド」では、アストルフォはこの槍でふんだんに活躍した後、従姉妹の女騎士ブラダマンテに預ける(第23歌)。ブラダマンテもまたおびただしい敵をこの槍でたたき落とす。最終的な持ち主はブラダマンテ。
・なお、アストルフォもブラダマンテもこの槍に魔法が掛かっていることを知らない。


■ 第9歌
・パラディン・オルランド、美姫アンジェリカを探して諸国を冒険し、愛剣【ドゥリンダーナ】が血の雨を降らせる。
・パラディン・オルランド、フリースラント(フリジア)王の火縄銃と対決する。
・パラディン・オルランド、火縄銃が二度とこの騎士の世に出てこないよう深い海へ沈める。

                                                                                              


《コラム:名剣【ドゥリンダーナ】(デュランダル)》
・元はトロイアの英雄ヘクトルの剣。大変よく斬れる。シャルルマーニュにまつわる伝説では一般に、オルランド(ローラン)の愛剣とされる。
・《名剣のドゥリンダーナを打ち振れば、いかなる盾も、兜も、また綿を詰めたる布も、いっこうに物の役には立たぬゆえ。》(第12歌79-80)

・ただし、セリカーナ王グラダッソがドゥリンダーナをオルランドに打ち込んだときは、いかなる刃も通さないオルランドの膚に弾かれた。《グラダッソ、ブランディマルテを棄て置いて、伯オルランドに立ち向かい、喉当て目がけて 突きをくれれば、肉を除いて、他はすべて刺し貫いたが、いかにすれどもその肉は刺し貫けず。》(第41歌83)

なお、オルランドの膚の紹介は、《オルランドの皮膚、頭の先から足の先まで、金剛石よりなお固きこと知らずにいたゆえ。》(第11歌50)
・ヘクトルの死後、ヘクトルの剣ドゥリンダーナはペンテジレア(ペンテシレイア)の持ち物となり、その子孫を経てアルモントに伝わる(※)。アルモントはアフリカ王アグラマンテの父トロイアーノの弟で、兄弟共にオルランドに討たれる。
・オルランドはアスプラモンテの戦いでアルモントを討ち、ドゥリンダーナと、アルモントの兜を手に入れる(「狂えるオルランド」訳注 第1歌20)。
・その後、オルランドは正気を失って、ドゥリンダーナを投げ捨てる。投げ捨てられたドゥリンダーナを、タタール王マンドリカルドが手に入れる(第24歌)。
・タタール王マンドリカルドがイスラム騎士ルッジェーロとの決闘に敗れた結果、ドゥリンダーナはセリカーナ王グラダッソの持ち物となる(第30歌)。
・セリカーナ王グラダッソはドゥリンダーナでオルランドの親友ブランディマルテを殺害し(第41歌)、怒れるオルランドはグラダッソを殺害する(第42歌)。その後は描かれないが、無論、オルランドの手に戻ったのだろう。

・※参考:
 トマス・ブルフィンチ「シャルルマーニュ伝説」
 馬虎書房 http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.3-1.html

 

■ 第10歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、船頭と共に善き魔女ロジスティッラの国へ向かう。魔女アルチーナと追っ手の船団に対し、船頭がルッジェーロの持つ【魔法の盾】を使用する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、魔女ロジスティッラの国で人の姿に戻ったパラディン・アストルフォと再会。(ルッジェーロはアストルフォの愛馬【ラビカーノ】に乗ってここまでやってきたため、おそらくこのときラビカーノをアストルフォに返却する。)
・魔女ロジスティッラ、天馬【イッポグリーフォ】に轡をつけ、イスラム騎士ルッジェーロに天馬騎乗の手ほどきをする。
・イスラム騎士ルッジェーロ、天馬【イッポグリーフォ】に乗って旅立ち、諸国漫遊ののちブルターニュへ行く。
・イスラム騎士ルッジェーロ、海の化け物(鯱)の生け贄とされていた美姫アンジェリカを救うため、鯱と戦闘する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、【魔法の指輪】をアンジェリカに嵌めて、【魔法の盾】を使用。アンジェリカは指輪に守られ、鯱だけが失神する。ルッジェーロはアンジェリカを天馬【イッポグリーフォ】に乗せて救出。
・裸の美姫アンジェリカに欲情したイスラム騎士ルッジェーロ、天馬【イッポグリーフォ】を木に繋ぐのもほどほどにアンジェリカに手を出そうとする。


■ 第11歌
・美姫アンジェリカ、【魔法の指輪】を口に含んでイスラム騎士ルッジェーロの前から逃走する。指輪は巡り巡って元の持ち主であるアンジェリカの手に戻る。
・天馬【イッポグリーフォ】、手綱が解けて、天空へ逃走する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、巨人がブラダマンテの顔をした騎士を抱えて去るのを追いかける。

・パラディン・オルランド、鯱を殺害し、生け贄とされたオランダ伯の姫オリンピアを救出する。
・パラディン・オルランド、愛剣【ドゥリンダーナ】でヘブリディーズ(エブーダ)の島人を誅する。


■ 第12歌
・パラディン・オルランド、アトランテの幻術により魔法の館に囚われる。
・イスラム騎士ルッジェーロ、アトランテの幻術により魔法の館に囚われる。先の巨人が連れ去ったブラダマンテは幻術であった。

・美姫アンジェリカ、【魔法の指輪】を口に含んで、アトランテの魔法の館に侵入。その結果、館を出てパラディン・オルランド、イスラム騎士・フェッラウ(第1歌参照)、イスラム騎士サクリパンテ(第1歌参照)の3騎に追われることとなり、再び【魔法の指輪】で姿をくらます。
・パラディン・オルランドとイスラム騎士・フェッラウ、オルランドの兜(元はアルモントの兜)を懸けて果たし合いを始める。
・イスラム騎士・フェッラウが、臍を除いて不死身であることが語られる。
・パラディン・オルランドが、足裏を除いて不死身であることが語られる。
・美姫アンジェリカ、【魔法の指輪】で密かにオルランドの兜を奪い、果たし合いは中断される。オルランドの兜はイスラム騎士・フェッラウのものとなる。

・パラディン・オルランド、美姫アンジェリカを探すうちにイスラム軍と遭遇し、ただ一騎にて愛剣【ドゥリンダーナ】を振るい、血の雨を降らせる。


■ 第13歌
・パラディン・オルランド、通りすがりの岩屋より、イスラム教徒のガリシア王の娘イザベラを救出する。

・女騎士ブラダマンテ、魔女メリッサからイスラム騎士ルッジェーロの居場所を告げられる。妖術使いアトランテの幻術についてメリッサから忠告されていたが、術に敗れて魔法の館に囚われる。


■ 第14歌
・タタールの王マンドリカルド、シリアの魔女の城にて、【ヘクトルの甲冑】を勝ち得た武勇談が語られる。
・タタール王マンドリカルド、パラディン・オルランドが持つヘクトルの剣を手に入れるまでは、いかなる剣も手にしないと誓ったことが語られる。

・アグラマンテ王のイスラム軍、皇帝シャルルの軍が集まるパリを強襲する。
・アルジェリア(サルツァ)の王ロドモンテ、竜の鱗で造られた堅固な甲冑を纏い、パリ城壁を守る皇帝シャルルの諸将を多数討ち取る。

                                                                                              


《コラム:【ヘクトルの甲冑】》
・トロイアの英雄ヘクトルの光り輝く甲冑一式(鎧、兜、盾)。鍛冶神ヴルカーノ(ウルカヌス)が造った魔法の甲冑(第26歌100)で、ものすごく硬い。
・ヘクトルのものであることを示す、鷲の紋章が描かれている。
・ただし、ものすごく硬いだけなので、脳天へ一撃を受けた場合、刀傷はないが衝撃で目が眩む(第24歌104、第30歌55)。なお、オルランドの不死身の肌も同様にものすごく硬いだけなので、脳天への衝撃には目が眩むという弱点を持つ(第41歌96)。
・ヘクトルの死後、ヘクトルの甲冑はアエネーイスが運び去り、シリアの魔女の城で守られるものとなった(※)。
・タタール王マンドリカルドが、シリアの魔女の城でヘクトルの甲冑を勝ち取る。
 その後、マンドリカルドはイスラム騎士ルッジェーロとの決闘に負け、ヘクトルの甲冑はルッジェーロの物となる(第30歌)。ルッジェーロの船が難破し、流れてついた甲冑をオリヴィエーロが装備する(第41歌)。その後、ルッジェーロに返却される(第44歌)。

・※参考:
 トマス・ブルフィンチ「シャルルマーニュ伝説」
 馬虎書房 http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.3-1.html

 

■ 第15歌
・アストルフォ、善き魔女ロジスティッラの国より船で出立。
・出立に際し、魔女ロジスティッラ、【魔法の本】と【角笛】をアストルフォに授ける。
・アストルフォ、ペルシャ湾に上陸。道中の猛獣、野獣を【角笛】で退ける。
・アストルフォ、ナイル川の巨人カリゴランテを【角笛】で捕縛する。
・アストルフォ、ナイル河口で不死身の盗賊オッリロを【魔法の本】に記された方法で倒す。
・アストルフォ、巨人カリゴランテをパレスティナの代官サンソネットに贈り、返礼として聖ゲオルギウスの黄金の拍車と剣帯をもらう。

                                                                                              


《コラム:【魔法の本】》
・もろもろの魔法からいかにして逃れるかを示す本。
・見出しや目次がついており、必要なことがひと目で判る。
・持ち主はアストルフォのみ。わずか2度だけ使用される。

                                                                                              


《コラム:【角笛】》
・この角笛の音は凄まじく、ひとたび響けば人はみな敵も味方も逃げ出さずにはいられなくなる。
・持ち主はアストルフォのみ。頻繁に使用される。月へ行った際に音を失って、以後使用できなくなる。


■ 第16歌
・アルジェリア王ロドモンテ、パリ市中を一騎で駆け抜けて街を破壊、大殺戮をおこなう。パリ、ただの一騎によりまるで灰燼と化す。
・パラディン・リナルド、スコットランドからの援軍を率いてパリに到着する。


■ 第17歌
・アルジェリア王ロドモンテ、引き続き猛威を奮う。


■ 第18歌
・アルジェリア王ロドモンテ、いと固き竜の鱗の鎧に守られ、傷を受けない。
・アルジェリア王ロドモンテ、パリから脱出する。

・パラディン・アストルフォ、パレスティナの代官サンソネットと共にダマスカスの馬上試合へ出かける。
・パラディン・アストルフォ、旧知である剛勇無双の女武者マルフィーザと合流する。
・パラディン・アストルフォ、馬上試合にて、愛馬【ラビカーノ】と【黄金の槍】で活躍する。
・アストルフォ一行、トリポリより出港する。

・アフリカ王アグラマンテのイスラム軍、皇帝シャルルの軍勢に大敗北を喫する。


■ 第19歌
・旅の美姫アンジェリカ、イスラム軍の一兵卒メドーロとの恋に落ち、結婚する。

・アストルフォ一行、嵐で女族の土地へ流れ着く。
・女武者マルフィーザ、女族の試練のなか、黒装束の騎士グィドーネと手合わせし、互角の戦いとなる。
・黒装束の騎士グィドーネ、18も超えぬ年頃と判り、一同を驚かせる。


■ 第20歌
・黒装束の騎士グィドーネ、パラディン・リナルドおよび女騎士ブラダマンテの異母兄弟、つまり、パラディン・アストルフォの従兄弟であると判る。
・アストルフォ一行、黒装束の騎士グィドーネの手引きにより女族の土地より逃亡を図るが、危機に陥る。
・パラディン・アストルフォ、【角笛】を吹いて回り、敵も味方も彼方へ逃走させる。結果、アストルフォは波止場にひとり取り残される。

・女武者マルフィーザ、道連れの老婆を侮辱した悪党ピナベル(第2歌参照)を槍で突き落とす。


■ 第21歌
(省略)


■ 第22歌
・パラディン・アストルフォ、ロンドンへ帰還した後、フランスへ。愛馬【ラビカーノ】と【角笛】を携えて進む。
・妖術使いアトランテ、【ラビカーノ】を盗み、パラディン・アストルフォを魔法の館へ導く。
・パラディン・アストルフォ、妖術使いアトランテの幻術を【角笛】で破ったのち、【魔法の本】に記された方法でアトランテの魔法の館を消滅させる。
・パラディン・アストルフォ、魔法の館の跡に、持ち主(アトランテ)の元に帰っていた天馬【イッポグリーフォ】を見つける。

・イスラム騎士ルッジェーロと女騎士ブラダマンテ、魔法の館から解放されて抱擁。ふたりの旅立ち。
・イスラム騎士ルッジェーロ、悪党ピナベルに囚われた4人の騎士(パレスティナの代官サンソネット、黒装束の騎士グィドーネを含む)を、意図せず覆い布の破れた【魔法の盾】で倒してしまう。
・イスラム騎士ルッジェーロ、【魔法の盾】で騎士を倒したことを不名誉に思い、盾を井戸に沈め、封印する。
・女騎士ブラダマンテ、悪党ピナベルを追いかけて誅殺。イスラム騎士ルッジェーロとはぐれる。


■ 第23歌
・女騎士ブラダマンテ、再び魔法の館の跡に戻り、従兄弟のパラディン・アストルフォと再会。
・パラディン・アストルフォ、愛馬【ラビカーノ】と甲冑と【黄金の槍】をブラダマンテに預け、剣と【角笛】を手に天馬【イッポグリーフォ】に乗って旅立つ。
・女騎士ブラダマンテ、母と兄の居城モントーバンへ帰還する。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロの愛馬【フロンティーノ】をモントーバンへ連れ帰っていた(第4歌参照)。
・女騎士ブラダマンテ、侍女イッパルカを【フロンティーノ】に乗せ、ルッジェーロへの使者とする。
・アルジェリア王ロドモンテ、侍女イッパルカよりイスラム騎士ルッジェーロの愛馬【フロンティーノ】を奪う。

・タタール王マンドリカルド、追っていたパラディン・オルランドと遭遇し、名剣【ドゥリンダーナ】を賭けた勝負を挑む。オルランド、賭けの対象【ドゥリンダーナ】を木に吊した後、果たし合いに臨む。
・タタール王マンドリカルドを乗せた馬が暴走して走り去り、立ち合いが中断される。
・パラディン・オルランド、タタール王マンドリカルドを追う途中、美姫アンジェリカとイスラム軍の一兵卒メドーロの結婚を知る。
・パラディン・オルランド、正気を失う。


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■ 第24歌
・狂えるオルランド、甲冑を脱ぎ捨て、衣を引き裂き、愛剣【ドゥリンダーナ】を投げ捨て、獣のように暴れ回る。
・スコットランドの王子ゼルビン、オルランドの投げ捨てた武具を拾い集め、松の木のたもとに安置する。
・タタール王マンドリカルド、名剣【ドゥリンダーナ】を奪い、制止するスコットランドの王子ゼルビンと戦う。
・タタール王マンドリカルド、スコットランドの王子の痛烈な一撃を受けるも、【ヘクトルの甲冑】のため無事。
・タタール王マンドリカルド、名剣【ドゥリンダーナ】に加え、パラディン・オルランドの愛馬【ブリリアドーロ】も連れ去る(第31歌参照)。
・狂えるオルランド、そのままフランスじゅうをさまよい歩く。
・タタール王マンドリカルド、アルジェリア王ロドモンテと勝負する。マンドリカルドの【ヘクトルの甲冑】はロドモンテの一撃からも傷を受けない。
・タタール王マンドリカルド、アルジェリア王ロドモンテと一時休戦し、アフリカ王アグラマンテの救援に向かう。

 

                      

《コラム:名馬【ブリリアドーロ】》

・パラディン・オルランドの愛馬。

・持ち主の変遷は次の通り。

「恋するオルランド」

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-12.html

 オルランド、愛馬ブリリアドロに乗ってタタール王アグリカン(アグリカーネ)を倒す。アグリカンの乗っていた馬がリナルドの馬バヤール(バイアルド)であることに気づいて、バヤールに騎乗する。その際、ブリリアドロ(ブリリアドーロ)は戦場に繋いでおいた。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-15.html

 オルランド、バヤールに乗り、ブリリアドロはフロリマール(ブランディマルテ)が乗る。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-18.html

 フロリマール、ブリリアドロをオルランドへ返す。

 オルランドは、ブリリアドロに乗ってリナルドと戦う。

 オルランド、ブリリアドロに乗ってアルブラッカから出発する。なお、アルブラッカに置かれたバヤールは、アンジェリカがリナルドへ返す。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.1-19.html

  乙女オリジッレ、オルランドを欺し、ブリリアドロを奪って立ち去る。オルランドは徒歩となる。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-2.html

  乙女オリジッレ、ブリリアドロに乗った旅先で、オルランドと再会する。オルランド、オリジッレに求愛する。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-3.html

 乙女オリジッレ、ドゥリンダナ(ドゥリンダーナ)とブリリアドロをオルランドの元から持ち去る。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-7.html

 乙女オリジッレ、オルランドと再会する。オルランド、オリジッレの顔を見ると怒りを忘れ、旅の仲間となる。(おそらくここで、ブリリアドロはオルランドの元へ戻る)。

http://ayutori.web.fc2.com/orland/orland.2-17.html

 オルランド、ブリリアドロの背から降りて、魔の泉に飛び込んだことが語られる。

 

「狂えるオルランド」

・パラディン・オルランドが正気を失った際、タタール王マンドリカルド、名剣【ドゥリンダーナ】に加え、パラディン・オルランドの愛馬【ブリリアドーロ】も連れ去る(第24歌、第31歌)。

・イスラム騎士ルッジェーロがタタール王マンドリカルドを打ち倒した際、アフリカ王アグラマンテ、マンドリカルドの所有していた【ヘクトルの甲冑】と名馬【ブリリアドーロ】をイスラム騎士ルッジェーロに授けるが、ルッジェーロは【ブリリアドーロ】をアグラマンテに献上する(第30歌)。

・アフリカ王アグラマンテ、パラディン・ドゥドーネの船団に敗北し、小舟で逃走。その際、名馬【ブリリアドーロ】も連れてゆく(第40歌)。

アフリカ王アグラマンテ、名馬【ブリリアドーロ】に乗って、3騎対3騎の決闘に臨む(第41歌)。

怒れるオルランド、アフリカ王アグラマンテの首を切り落とす(第42歌)。(おそらくこのとき【ブリリアドーロ】はオルランドの手に戻る。)

 


■ 第25歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、女騎士ブラダマンテと瓜二つの兄騎士リッチャルデットを救出する。
・イスラム騎士ルッジェーロの名剣【バリサルダ】はかつてパラディン・オルランドが持っていたこと、その後、盗人ブルネルの手を経てルッジェーロに渡ったことが示唆される(第25歌 訳注3)。
・兄騎士リッチャルデット、スペイン王の姫君フィオルデスピーナが、髪を切った妹騎士ブラダマンテに恋をした顛末を語る。


■ 第26歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、女武者マルフィーザと合流し、また別れる。
・イスラム騎士ルッジェーロ、愛馬【フロンティーノ】を奪ったアルジェリア王ロドモンテを敵とする。

・女武者マルフィーザ、タタール王マンドリカルドと勝負するが、互いの魔法の鎧に阻まれて決着が付かない。
・女武者マルフィーザの勇猛がアキレス挑んだペンテジレアに喩えられる。
・女武者マルフィーザ、タタール王マンドリカルドとアルジェリア王ロドモンテに同行し、アフリカ王アグラマンテの救援に向かう。

・イスラム騎士ルッジェーロ、愛馬【フロンティーノ】を奪ったアルジェリア王ロドモンテと遭遇する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、アルジェリア王ロドモンテに同行するタタール王マンドリカルドと、鷲の紋章について言い争いとなる。ルッジェーロはヘクトルの子孫であるため盾に鷲の紋章をつけ、マンドリカルドは【ヘクトルの甲冑】の持ち主のため盾に鷲の紋章をつけ、互いにヘクトルの名を負っていたためである。
・イスラム騎士ルッジェーロ、アルジェリア王ロドモンテ、タタール王マンドリカルド、マルフィーザ、4者の争いとなる。
・タタール王マンドリカルド、アルジェリア王ロドモンテが去る。女武者マルフィーザ、マンドリカルドを好敵と認める。

・イスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザ、互いの腕前を認め、敵を追ってパリへ。


■ 第27歌
・タタール王マンドリカルド、アルジェリア王ロドモンテ、アフリカ王アグラマンテを救援する。
・イスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザ、アフリカ王アグラマンテを救援し、シャルルの軍勢をパリへ後退させる。

・以下、イスラム軍に不和の種が積み重なる。
・セリカーナ王グラダッソ、長らく求めていた名剣【ドゥリンダーナ】がタタール王マンドリカルドの手にあるのを知って、所有権を主張する。
・カフカス王サクリパンテ、愛馬フロンタラックァが盗人ブルネルの手を経て【フロンティーノ】という別の名でアルジェリア王ロドモンテの乗騎となっていることを知って、所有権を主張する。

・女武者マルフィーザ、自らの剣を盗んだ盗人ブルネルを吊すために森の塔へ。

・アルジェリア王ロドモンテ、恋に破れ、【フロンティーノ】に乗ってアフリカ王アグラマンテの陣営より出てゆく。
・カフカス王サクリパンテ、【フロンティーノ】を取り戻すため、アルジェリア王ロドモンテを追う。

■ 第28歌
・アルジェリア王ロドモンテ、【フロンティーノ】とともに南仏に滞在し、ガリシア王の娘イザベラと出会う。


■ 第29歌
・ガリシア王の娘イザベラ、アルジェリア王ロドモンテの求愛を断り、スコットランドの王子ゼルビンへの愛に殉ずる。
・アルジェリア王ロドモンテ、ガリシア王の娘イザベラとスコットランドの王子ゼルビンの墓廟を建てる。
・アルジェリア王ロドモンテ、墓廟近くの橋守をし、通りがかりの騎士に挑んで奪い取った武具や持ち物を墓廟へ奉納する。
・狂えるオルランド、アルジェリア王ロドモンテの守る橋を通りかかり、もみ合いとなる。二人は川へ落下する。

・美姫アンジェリカ、スペインのタラゴナで狂えるオルランドと遭遇し、【魔法の指輪】を口に含んで逃走する。


■ 第30歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、自らのために鷲の紋章を賭けて、セリカーナ王グラダッソのために名剣【ドゥリンダーナ】を賭けて、タタール王マンドリカルドと決闘する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、名剣【バリサルダ】でタタール王マンドリカルドの頭を打つも、【ヘクトルの甲冑】に阻まれる。
・イスラム騎士ルッジェーロ、名剣【バリサルダ】で【ヘクトルの甲冑】の脇腹の隙間を突いて、タタール王マンドリカルドを殺害する。《魔法の剣バリサルダ、その切れ味の前にては、魔法の鎧も、魔法の鎖帷子も、なんの効き目もないように鍛造されていたゆえに。》
 その際、自らもマンドリカルドの名剣【ドゥリンダーナ】で頭を割られ負傷する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、タタール王マンドリカルドの所有していた【ヘクトルの甲冑】を得る。

・アフリカ王アグラマンテ、タタール王マンドリカルドの所有していた名馬【ブリリアドーロ】をイスラム騎士ルッジェーロに授けるが、ルッジェーロはこれをアグラマンテに献上する。
・セリカーナ王グラダッソ、マンドリカルドの所有していた名剣【ドゥリンダーナ】を得る。

・女騎士ブラダマンテ、モントーバンにてイスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザの動向を耳にする。


■ 第31歌
・黒装束の騎士グィドーネ、異母兄であるパラディン・リナルドと念願の出会いを果たす。
・パラディン・リナルド、愛馬【バイアルド】に乗ってパリのシャルルを救援する。
・シャルルの騎士ブランディマルテ、パリより姿を見せ、親友のパラディン・オルランドを探索する旅に出かける。
・シャルルの騎士ブランディマルテ、アルジェリア王ロドモンテの守る橋を通りかかり、ロドモンテの虜囚となる。
・アフリカ王アグラマンテのイスラム軍、パラディン・リナルドの活躍によりアルルへ敗走する。
・アフリカ王アグラマンテ、負傷したイスラム騎士ルッジェーロも共にアルルへ運ぶ。
・セリカーナ王グラダッソ、名剣【ドゥリンダーナ】のみならずパラディン・リナルドの愛馬【バイアルド】も長く求めていたことが語られる。
・パラディン・リナルドとセリカーナ王グラダッソ、互いに【バイアルド】と名剣【ドゥリンダーナ】を賭けて、決闘を約束する。


■ 第32歌
・女武者マルフィーザ、アフリカ王アグラマンテ救援のためアルルへ。
・アフリカ王アグラマンテ、女武者マルフィーザの連れてきた盗人ブルネルを吊す。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザが相思相愛の噂を耳にする。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロの裏切りに対し、絶望と死の覚悟と共に戦場パリへ。その際、パラディン・アストルフォから預かった名馬【ラビカーノ】に乗り、【黄金の槍】を携える。
・女騎士ブラダマンテ、トリスタンの城と呼ばれる城で、三人の王を【黄金の槍】で突き落とす。


■ 第33歌
・女騎士ブラダマンテ、トリスタンの城でマーリンの未来予言絵を見る。
 かつてフランク王がアーサー王と盟約を結ばんとした際、アーサー王から使わされたマーリンが魔法で描いたもの。

・セリカーナ王グラダッソ、パラディン・リナルドの愛馬【バイアルド】の逃走によって決闘が中断したのち、【バイアルド】を捕らえ、名剣【ドゥリンダーナ】も携えたまま、アルルよりいずこかへ出港する。

・パラディン・アストルフォ、天馬【イッポグリーフォ】で諸国漫遊する。
・パラディン・アストルフォ、エティオピアのヌビアで、ハルピュイアの群れを【角笛】で追い払う。


■ 第34歌
・パラディン・アストルフォ、天馬【イッポグリーフォ】から降りて、ハルピュイアの逃げ込んだ地獄へ続く洞窟を見物する。
・パラディン・アストルフォ、洞窟を出て入口を岩で塞ぎ、ハルピュイアを閉じ込める。
・パラディン・アストルフォ、月に近い山の頂上へ天馬【イッポグリーフォ】を駆り、頂きの宮殿で使徒ヨハネに迎えられる。
・パラディン・アストルフォ、使徒ヨハネに連れられて火の馬車で月へ行く。
・パラディン・アストルフォ、月にて、最も大きな壜にパラディン・オルランドの正気が収められていることを見る。
・パラディン・アストルフォ、おのれの正気の大部分が月の壜に収められていたことを見る。
・パラディン・アストルフォ、壜に鼻を当てて正気を吸い戻す。
 アストルフォは以後長らく分別わきまえ暮らしたが、そののち犯した過ちのため、ふたたび正気を取り上げられたと伝えられている。
・パラディン・アストルフォ、月よりパラディン・オルランドの正気の壜を持ち出す。


■ 第35歌
・女騎士ブラダマンテ、ルッジェーロの居るアルルを目指す。
・女騎士ブラダマンテ、アルジェリア王ロドモンテの守る橋にて、ロドモンテを【黄金の槍】と【ラビカーノ】で打ち倒す。
・アルジェリア王ロドモンテ、アルジェリアへ送ったシャルルの騎士ブランディマルテを含む虜囚たちの解放を約束する。
・アルジェリア王ロドモンテ、まさかの敗北に唖然として去り、のちは暗き洞にて暮らしたと伝えられる(第46歌のフィナーレで再登場)。
・カフカス王サクリパンテのその後が語られる。【フロンティーノ】を取り戻すため、アルジェリア王ロドモンテを追った(第27歌)のち、アルジェリア王ロドモンテの守る橋で馬と甲冑を奪われ、美姫アンジェリカを追って、アンジェリカの故郷へ向かったという。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロの愛馬【フロンティーノ】をアルジェリア王ロドモンテから取り戻す。
・女騎士ブラダマンテ、アルルにて、名は伏したまま、【フロンティーノ】をイスラム騎士ルッジェーロに返し、ルッジェーロに挑戦する。
・女騎士ブラダマンテ、名を伏したまま【黄金の槍】と【ラビカーノ】で、アグラマンテ王陣営の騎士3名を突き落とす。


■ 第36歌
・【黄金の槍】で突き落とされたイスラム騎士・フェッラウ、女騎士ブラダマンテはその兄パラディン・リナルドやパラディンのなべての騎士と互角の猛者と聞くが、一方、先の名を伏した騎士はおそらくブラダマンテであるが今日見たところではリナルドやパラディン・オルランドをも凌ぐ腕前と評する(【黄金の槍】のため)。《妹は兄リナルドや、パラディンのなべての騎士と互角の猛者との勇名を馳せてはいるが、今日見届けたところでは、兄リナルドや、従兄なるオルランドをも凌ぐ腕前》(第36歌14)
・女武者マルフィーザが名を伏した女騎士ブラダマンテに挑戦。マルフィーザに気づいたブラダマンテ、怒りのまま【黄金の槍】でマルフィーザを突き落とす。
・女騎士ブラダマンテ、【黄金の槍】で地上の女武者マルフィーザを幾度も転倒させる。
 《ブラダマンテは強しといえど、その腕がマルフィーザを遙かに凌ぐわけにはあらず。槍で一突きするごとにマルフィーザ引っくり返るは、その槍がかかる魔力を備えているゆえ。》
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロを見つけ、なじり、襲いかかるも、互いの愛ゆえに槍を突き合わすことなく、いったん別れる
・女騎士ブラダマンテ、アルルにて三百人余りのイスラム軍を【黄金の槍】で突き落とし、敗走させる。
・女騎士ブラダマンテ、イスラム騎士ルッジェーロ、女武者マルフィーザ、戦場を抜け出す。
・女騎士ブラダマンテと女武者マルフィーザの争い。【黄金の槍】、のちに捨てて地上戦。
・仲裁に入ったイスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザの争い。マルフィーザの痛烈な一撃を、ルッジェーロ、【ヘクトルの甲冑】(盾)でかろうじて受ける。
・病死していた妖術使いアトランテの霊が現れ、イスラム騎士ルッジェーロと女武者マルフィーザが兄妹であることを明かす。女騎士ブラダマンテの誤解は解け、三人の和解。
・イスラム騎士ルッジェーロ、自分たちがヘクトルの血筋であることを妹の女武者マルフィーザに語る。
・女騎士ブラダマンテのクレールモン家もヘクトルの血筋であることが記される。


■ 第37歌
・女騎士ブラダマンテ、女武者マルフィーザ、イスラム騎士ルッジェーロ、悪党領主マルガノールを誅する。ブラダマンテは【黄金の槍】を振るった。一方、マルフィーザは拳を振るった。
・女騎士ブラダマンテ、女武者マルフィーザは皇帝シャルルの陣営へ。イスラム騎士ルッジェーロはアルルのフランス王アグラマンテの陣営へ。


■ 第38歌
・女武者マルフィーザ、洗礼を受け、皇帝シャルルの陣営に加わる。
・パラディン・アストルフォ、使徒ヨハネの指示によりエティオピアのヌビアの王を癒す。ヌビアの王、ハルピュイア退治の礼と合わせて皇帝シャルルの陣営に加わる。
・パラディン・アストルフォ、使徒ヨハネに祈りを捧げた結果、山の石を騎馬へ変える奇跡を起こし、ヌビアの歩兵8万を騎馬武者に変える。
・パラディン・アストルフォ、アフリカ王アグラマンテの領地を後方より攻め立てる。
・敗色濃厚なアフリカ王アグラマンテ、皇帝シャルルに代表の武者一騎打ちでの決着を申し入れる。
 アグラマンテ陣営はイスラム騎士ルッジェーロ、シャルル陣営はパラディン・リナルドが代表となる。
・魔女メリッサ、女騎士ブラダマンテの恋人であるイスラム騎士ルッジェーロとブラダマンテの兄であるパラディン・リナルドの果たし合いを邪魔することをブラダマンテに約束する。
・イスラム騎士ルッジェーロ、【ヘクトルの甲冑】を着用して一騎打ちに臨む。


■ 第39歌
・魔女メリッサ、アフリカ王アグラマンテをけしかけて、一騎打ちの約定を破り乱戦へ。
・女騎士ブラダマンテ、【黄金の槍】を振るい、女武者マルフィーザと共にイスラム軍を蹂躙する。
・パラディン・アストルフォ、北アフリカの海辺で木の葉を船団に変える奇跡を起こす。
・アルジェリア王ロドモンテの虜囚だったシャルルの騎士ブランディマルテ、パラディン・オリヴィエーロらの乗った船が、アストルフォの元へ辿り着く。
 オリヴィエーロはパラディン。第27歌の記述《ウッジェーロと、ウィーン伯オリヴィエーロを除いては、パラディンの騎士たちすべて虜となった》から判る。
・パラディン・アストルフォ、シャルルの騎士ブランディマルテ、パラディン・オリヴィエールらの元に、狂えるオルランドがやってくる。
・パラディン・アストルフォ、オルランドの正気を鼻から吸わせる。パラディン・オルランドの狂気は癒され、以前にも増して正気となる。
・パラディン・アストルフォ、パラディン・オルランド、シャルルの騎士ブランディマルテ、パラディン・オリヴィエーロ、アフリカ王アグラマンテの国の首都、チュニジアのビゼルタを包囲。
・パラディン・ドゥドーネ、別働隊の船団を率いて、チュニジアからプロヴァンスへ向かう。
・女騎士ブラダマンテ、女武者マルフィーザ、スラム軍を蹂躙しつつ、アフリカ王アグラマンテを追うも、取り逃がす。
・アフリカ王アグラマンテ、船でアルルから逃走するも、プロヴァンスへ向かうパラディン・ドゥドーネの船団と遭遇、戦闘となる。


■ 第40歌
・アフリカ王アグラマンテ、パラディン・ドゥドーネの船団に敗北し、小舟で逃走。その際、名馬【ブリリアドーロ】も連れてゆく。
・パラディン・アストルフォ、パラディン・オルランド、シャルルの騎士ブランディマルテ、ビゼルタを攻略。アストルフォは天馬【イッポグリーフォ】に騎乗。
・アフリカ王アグラマンテ、行方の知れなかったセリカーナ王グラダッソ(第33歌)とシチリア島で合流。ビゼルタの皇帝シャルルの陣営に、3騎対3騎の決闘を申し込む。
・イスラム騎士ルッジェーロ、戦場を離れマルセイユへ。
・イスラム騎士ルッジェーロ、マルセイユにてパラディン・ドゥドーネと戦う。
《ルッジェーロ、いかなる兜、、いかなる鎧であろうとも断ち割る、稀代の名剣引き抜いて、その腕のほどパラディンの騎士ドゥドーネに示して見せる。》
 ただし、ドゥドーネは女騎士ブラダマンテの従兄弟のため、ルッジェーロは手加減して剣の平でしか打たず。

        


■ 第41歌
・イスラム騎士ルッジェーロ、パラディン・ドゥドーネに勝利、ドゥドーネの虜囚となっていたイスラムの王たちを解放し、アフリカへ出港する。
・イスラム騎士ルッジェーロの船団、嵐で難破し、愛馬【フロンティーノ】と【ヘクトルの甲冑】、名剣【バリサルダ】のみを乗せた船がビゼルタの海岸に流れ着く。

・パラディン・オルランド、流れ着いた名剣【バリサルダ】を取り戻す。【バリサルダ】はかつてオルランドの元から盗人ブルネル盗みだし、イスラム騎士ルッジェーロに贈ったものであったことが語られる。
・パラディン・オリヴィエーロ、流れ着いた【ヘクトルの甲冑】を装備する。
・シャルルの騎士ブランディマルテ、流れ着いた名馬【フロンティーノ】に騎乗する。

・イスラムの騎士ルッジェーロ、岩礁に流れ着く。岩の頂上に住むキリスト教の隠者から洗礼を受ける。
・イスラムの騎士ルッジェーロ、隠者より、女騎士ブラダマンテと結ばれること、またその子孫のこと、ただしルッジェーロ自身は7年のうちに命を落とすことを予言される。

・パラディン・オルランド、シャルルの騎士ブランディマルテ、パラディン・オリヴィエーロが 3騎対3騎の決闘へ向かい、パラディン・アストルフォは留守として残る。

・イスラム側の3騎は、アフリカ王アグラマンテ、セリカーナ王グラダッソ、知将ソブリン。

・アフリカ王アグラマンテ、名馬【ブリリアドーロ】に乗る。
・セリカーナ王グラダッソ、名馬【バイアルド】に乗り、名剣【ドゥリンダーナ】を装備する。

・パラディン・オリヴィエーロ、知将ソブリンの一撃に対し、【ヘクトルの甲冑】に命救われる。
・セリカーナ王グラダッソ、名剣【ドゥリンダーナ】を振るい、パラディン・オルランドの親友であるシャルルの騎士ブランディマルテを殺害する。


■ 第42歌
・怒れるオルランド、アフリカ王アグラマンテの首を切り落とし、続いてセリカーナ王グラダッソを殺害する。

・女騎士ブラダマンテ、一騎打ちの誓いを破り、姿を消したイスラム騎士ルッジェーロをなじる。
・魔法使いマラジージ、パラディン・リナルドに美姫アンジェリカの行方を語る。アンジェリカはスペインの岸辺(第29歌)よりカタロニア人の船に乗り、イスラム教徒の夫メドーロと共にアンジェリカの故郷を目指す旅の途中であるという。
・女武者マルフィーザ、女騎士ブラダマンテを慰める。


■ 第43歌
・パラディン・リナルドの遍歴。決闘が終わった直後のパラディン・オルランドらと合流する。
・パラディン・オルランドとパラディン・リナルド、パラディン・オリヴィエーロの傷を癒すため、岩礁の隠者の元へ。
・パラディン・オルランドとパラディン・リナルド、岩礁にて騎士ルッジェーロと出会う。


■ 第44歌
・パラディン・オルランド、友情により名剣【バリサルダ】と名馬【フロンティーノ】、【ヘクトルの甲冑】を騎士ルッジェーロへ返す。

・パラディン・アストルフォの船団は木の葉へ、騎馬は石へと戻る。
・パラディン・アストルフォ、プロヴァンスへ。使徒ヨハネの指示に従って、天馬【イッポグリーフォ】に自由を与える。
・パラディン・アストルフォの角笛、月界へ足を踏み入れた際に音が鳴らなくなったことが語られる。
・パラディン・アストルフォ、マルセイユへ到着。パラディン・オルランド、パラディン・リナルド、騎士ルッジェーロらと合流する。

・皇帝シャルルの軍勢、パリで凱旋式を行う。
・女騎士ブラダマンテ、自分を倒した最初の者と結婚するという願いを、シャルルが聞き入れる。
・騎士ルッジェーロ、女騎士ブラダマンテの親が決めた婚約者ギリシャの皇子レオーネを殺害するためベオグラードへ。名剣【バリサルダ】と【ヘクトルの甲冑】でギリシャ勢を蹂躙する。


■ 第45歌
・一角獣の騎士として名を秘した騎士ルッジェーロ、ギリシャ勢に捕らえられる。
・一角獣の騎士(ルッジェーロ)、皇子レオーネの手で密かに命を救われる。
・皇子レオーネ、自分の替え玉として女騎士ブラダマンテと戦うことを一角獣の騎士に依頼する。
・騎士ルッジェーロ、名剣【バリサルダ】ではない別のなまくらな剣を用意して、女騎士ブラダマンテとの一騎打ちに備える。【ヘクトルの甲冑】を着用。
・女騎士ブラダマンテの必殺剣が皇子レオーネ(中身は騎士ルッジェーロ)を襲うも、【ヘクトルの甲冑】に阻まれる。
・皇子レオーネの勝利となり、ふたりの婚姻が定まる。騎士ルッジェーロは泣きながら失踪する。
・女武者マルフィーザ、皇帝シャルルに異議申し立て、皇子レオーネが騎士ルッジェーロを倒すことを結婚の条件とする。
・皇子レオーネ、ルッジェーロという騎士を相手に戦ってもらうための替え玉として、失踪した一角獣の騎士(ルッジェーロ)を捜索する。


■ 第46歌
・魔女メリッサ、皇子レオーネを騎士ルッジェーロの元へ導き、全てが明かされる。
・騎士ルッジェーロ、請われてブルガリアの王となる。
・女騎士ブラダマンテと騎士ルッジェーロの婚礼。
・魔女メリッサ、ヘクトルの妹カッサンドラが予言を刺繍した天幕をふたりの臥所に取り寄せる。
・アルジェリア王ロドモンテ、女騎士ブラダマンテへの敗北を恥じて1年と1月と1日の間、自ら蟄居していたが(第35歌参照)、その罰の日々も明けてパリを訪れ、騎士ルッジェーロに挑戦する。ルッジェーロ、【ヘクトルの甲冑】を身につけ、名剣【バリサルダ】を佩く。両者死にものぐるいの戦いの中、ルッジェーロ、甲冑に守られからくも勝利する。

 

以上。