愛、アガペー、あるいは愛理について。

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仙台市八木山動物公園より海を望む


9月14日、Wake Up, Girls! の永野愛理(えいのあいり)さんのイベントに参加するため仙台へ向かった。はやぶさ1号に乗って一路東北を目指すなか、車窓から見えた山の名前を確かめようと Google Map を開いたら田村という地名が目に入った。その隣に伊達市もある。まだ列車は宮城県仙台市よりもずっと手前であって、なるほど、仙台藩伊達家の旧地は福島県にあるのだった。田村は伊達政宗公の正室、愛姫の故郷として記憶していた。このあたりのことはNHK大河ドラマ独眼竜正宗を見ていておよそ覚えている。

中学の頃のドラマだったかと思う。当時、アニパロコミックスで高橋なのさんが "Dandy dragon" という独眼竜正宗の二次創作を描いておられて(Amazon.co.jp: Dandy dragon (OUT COMICS): 高橋 なの: 本)、その影響もあって当時、正宗公(まーちゃん)のことは戦国武将のなかでは一番好きだった。高校の歴史の授業は教科書でなく先生の配ったプリントを使っており、それを閉じるバインダーの表紙に僕は正宗公のイラストを描いた。

仙台には仕事でゆく機会が一度きりあっただけで、史跡などを回る時間はなかった。正宗公ゆかりの場所をいろいろ見たいものだと思っていたが、そうするうちに仙台は僕にとって正宗公とは別の縁を持つようになっていた。それが、今回の旅である。

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上野駅6:38発はやぶさ1号。このまま乗ってゆくと青森に着くというのだから驚く。仙台駅8:04着。

 

仙台で降りたらまずは西口のペデストリアンデッキである。場所としてはここへ来たかったということに尽きる。というのもここは Wake Up, Girls! の "16歳のアガペー" に登場する場所であり、これは永野愛理さんがメインの曲であり、また、ペデストリアンデッキで、とは彼女の担当パートの歌詞でもあるのだ。広大なペデストリアンデッキにはプランターから手すりまで花が飾られており、美しく整えられている。市街地のほうへせかせか歩いてゆく人もあれば、座り込んでのんびり時を過ごしている人もいる。このデッキは永野愛理さん演ずる林田藍里さんが友人たちと話していた場所であって(劇場版・七人のアイドル)、そんな風にこの町の人にとって当たり前の場所だとは思うのだが、僕にとっては、ペーデストーリアン、デッキーでー、という歌声と独特のリズムを伴う特別な場所だ。

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ちょうど再整備工事中であったがむしろ有り難い。工事中の風景のほうが写真で残すことが難しいためである。

ペデストリアンデッキでしばらく写真を撮りまくった後、地下鉄で北仙台まで移動した。北仙台駅からすこし歩いたところに青葉神社がある。この旅における数少ない正宗公ゆかりの地であるが、ここも Wake Up, Girls! 第1話で藍里さんたちが初詣に来ていた場所という理由で訪れたのだった。仙台にお住まいの愛理さんも初詣に来ておられるのではないかと思う。ここ青葉神社には伊達政宗公と愛姫がともに祀られている。愛理さんと愛姫。愛、愛である。仙台ではもしかすると愛という名前は特別な意味を帯びているかも知れない。

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青葉神社。白いベンチが置かれており、そこだけ西洋のお庭に迷い込んだかと思わせる。

 

まだ朝の早い時間に青葉神社へ行って、その後は北四番町へ向かって南へ歩いた。このあたりにはアニメの Wake Up, Girls! によく出てくる場所が集中している、というよりも、行ってみないと判らなかったことであるがほとんど同じ場所であった。彼女らの所属する芸能事務所の Green Leaves と林田藍里さんの家である和菓子屋さんのモデルがほぼお隣さん。駐車場ふたつ挟んでいるだけである。あと彼女らのよく行く喫茶店も目と鼻の先であって、なるほど藍里部屋がたまり場になるわけである。作中ではこうした位置関係が明らかではなかったが、おそらく事務所から藍里さんの家は近いのだろうとは思っていた。なお本日午後のイベントの会場はここであるが、午前中は場所を確認しに来ただけである。

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車線の左側手前が喫茶店、右側の手前から3軒目が事務所、4軒目が藍里さんの家。とても近い。

 

もう一駅分、南へ歩いてゆくと、劇場版 Wake Up, Girls! のファーストライブの舞台である勾当台公園に辿り着く。こちらも来てみないと判らなかったことであるが、仙台の町の中心にある大きな公園の高台にあって、作中では寂しい感じであるがそれよりずっと華やかだった。しかも、この日はちょうど定禅寺ストリートジャズフェスティバルというイベントの日で、仙台の町中の公園や路上でライブが行われており、勾当台公園の野外音楽堂でも高校生のライブステージのため舞台の周りで学生たちが準備をしていた。特にジャズである必要はないようなので、Wake Up, Girls! もこのイベントに参加していたっておかしくはなかった。

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駅前のアーケードのほうまで移動するとこちらにも人だかりがあって、路上のステージになっていた。今日は、仙台って音楽の町なのかな、と思わせるような賑わいだった。クリスロードのカフェのステージ脇には菊間夏夜さんがおられるのを見かけたので、やはり彼女たちもフェスティバルに参加しているらしいと判った。

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エクセルシオールの前に夏夜さんがおられるのを見つけた。

 

そうした路上ライブのステージの合間を抜け出してきたのかしら?という永野愛理さん「熊谷屋一日看板娘」のイベントである。イベント中の出来事は夢のようなことであまり覚えていないが、このあと八木山動物公園へゆくのだとお伝えしたら、でもシャークはいないんですよ……と仰っていて、僕にはすこし残念そうであるように見えた。実際、八木山動物公園で確認したところ、シロクマ、ライオン、トラ、ワニ、ワシがいた。オオカミも昔はいたそうである。しかし林田藍里さんのイメージアニマルであるサメだけはいない。八木山動物公園は次のアニメ作品、うぇいくあっぷがーるZOO! のモデルだと思われるが、山の上の動物園であるから作中でサメが歩いてるのはずいぶんな洒落である。

八木山動物公園へは仙台駅前からバスで、途中から山道をうねうねと登ってゆく。広瀬川に架かる橋を渡るとき見えた渓谷が美しかった。八木山動物公園には何カ所か見晴らしのよい場所があって、そこからは海岸までを見渡すことができた。町がどういうつくりになっていてどんな風に続いてゆくのか、市街地のほうにいると判らないことが少しだけ判った。アニメのEDで流れる "言の葉 青葉" はその断片であるように思えた。

 

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東京へ戻ってきて、そのまま家に帰る気が起こらなくてカラオケでタチアガレ! と16歳のアガペーを繰り返し唄った。16歳のアガペーという歌が生まれた経緯としては、只野菜摘さんのインタビューにあるよう、

この曲だけは、「『16歳のアガペー』でお願いします」と、タイトルがオーダー時点で決まっていたので、まず16歳のアガペーとは……というところから考え始めました。

(WUGpedia p.170)

ということで、そのオーダーを出したのが山本監督。

全ての曲にオーダーを出しました。

(WUGpedia p.150)

『16歳のアガペー』のタイトルは、山本監督がつけたそうですが、実は一度、神前暁さんにダメ出しを受けていたそうです。

(WUGpedia p.68)

山本監督が愛理さんのためにどうしてもアガペーという言葉を持ってきた、そういう特別なしつらえを感じる曲である。なお、愛理さんの日記では次のように書かれている。

私が大学で哲学やってるし
ギリシャ語もやってたしってことで
このタイトルになったんだとか!!

http://ameblo.jp/wakeupgirls/entry-11765011576.html

ここで大学生である愛理さんのアガペーではなく『16歳の』アガペーであるところが、愛理さんと藍里さんとの間にある距離である(林田藍里さんは作中で16歳になっている)。愛理さんのようであって愛理さんではない。只野菜摘さんのように、16歳のアガペーとは……というところから僕も考え始めることになる。

 

Like でも Love でもない言葉を探したとき、アガペーという言葉を見つけてしまった高校生がそこにいるのだと思う。好きというだけでは足りないけれど、成人したラブのニュアンスはなんとなく持たせたくない。それはたまたまどこかで聞いた言葉かもしれなくて、たとえば僕は高校の授業で習ったけど。アガペー

いっそ、愛だけじゃなくて、愛と理ってあたりがそれアガペーなんじゃないの、なんて。16歳の愛理だね。素敵なお名前だと思う。

 

二時間歌い続けてから帰宅。

さて、それでは愛理さんから手渡しで頂いた宝箱を開いてゆきますよ。

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熊谷屋さんの包み。ゆべし。

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ぱらり。仙臺駄菓子の文字と七夕祭りの絵。

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ゆべしと作中にも出てきた和菓子が色とりどりに詰められている。おいしそう。

こういうの、きっと愛が詰まってるって言うんだと思う。

 

(2014年09月15日)