疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

レビュー

聖痕とヴィジョン

劇場アニメ「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」を観てきました。劇場前作は進路の話として、本作は母子の話として揺さぶられるところがありました。いずれも兄妹の動きが軸となるところも大いに好みでした。 映画館から帰ってきて、作中の概念で…

グッバイ、ドン・グリーズ、思いを馳せる道具

これは「どこでも・もしもボックス」だなぁ、というのがキービジュアル第一弾を見た時の正直な感想でした。いしづか監督はドラえもんが大好き、ということを踏まえた連想で、どこでもドア的には遠いところをつなぐような何かで、もしもボックス要素はなんじ…

グッバイ、ドン・グリーズ!

漫画で子供たちのからだが吹き飛んでゆく様子を、わたしは、体重が軽い、と呼んでいます。 登場人物の体重が軽い.くるくるころころと宙に舞う.いいトコロなのに雪から足だけ出して埋まってる人体とか力が抜けてて良い,表題作が好き.雪ん中ないかな,二人…

やがて君になる 第8巻

やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT) 作者: 仲谷鳰 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/11/27 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 「やがて君になる」最終巻。星を見上げて、光へ手を伸ばしてきたお話の、最高の結びでした。 第1話「わ…

天気の子

ままならない天気に対して人が関わってゆく態度として、船上でわざわざ雨をかぶりにゆくとか故郷の島で晴れ間を追いかける姿が良かったですね。 雨は降ることが判っていればその瞬間を待つことができそうです。それもよかったけど、晴れ間を追いかける様子の…

柏葉幸子「地下室からのふしぎな旅」

新装版 地下室からのふしぎな旅 (講談社青い鳥文庫) 作者: 柏葉幸子,杉田比呂美 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/04/15 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (1件) を見る きっと、わたしたちのありふれた後悔の日々を起源と…

ひらがな一文字を傾聴すること

宇宙よりも遠い場所 第10話「パーシャル友情」。友達っていったい何なのか、友達という言葉をめぐるお話です。第10話の言葉についていろいろ反芻してると、キマリさんが天井に張り付いてた絵面が不意に思い出されて、可笑しくなりました。なんだあれ、ってな…

さし絵の昼と夜

ニレの木広場のモモモ館 (ノベルズ・エクスプレス) 作者: 高楼方子,千葉史子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2015/10/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「ニレの木広場のモモモ館 」は壁新聞をつくる子供たちのお話で、千葉史子(ちかこ…

宇宙よりも遠い水辺

「宇宙よりも遠い場所」(よりもい)第1話の水の風景が好きです。私はいつも水や星や夢のことばかりですが、よりもいの星と夢の話はこれまでに書いたので、今回は水の話をしたいと思います。 ※最終話までの内容を前提としていますので、最後まで見ていない方…

マイレコメンド「宇宙よりも遠い場所」

「宇宙(そら)よりも遠い場所」は、南極をきっかけに巡り会った四人の道ゆきを描くテレビシリーズ作品です。略して「よりもい」とも呼ばれます。この文章は作品の大まかな流れにも触れつつ、まだ「よりもい」を見ていないかたへ向けて作品の魅力を伝える目…

宇宙よりも遠いファンタスティック(後編)

私は「宇宙よりも遠い場所」に登場する夢や、夢みたいなことの描かれるさまが大変好きです。昔からこういうのばかり好きなので、作品中の幻想的な出来事に宛ててどういう言葉を送り出せば届くだろうかと、ずっと取り組んでいます。なので、今回もそうした試…

アストロ滑走団でわかる恋愛の才能

疏水太郎 初出:『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人×30説+』 (theoria,2010年8月15日発行) http://d.hatena.ne.jp/then-d/20120618/1340112564 夏葉薫論より 1. 序論 自然性を欠いた恋愛の描写は夏葉薫の持ち味として自負されている。本稿ではこの意識…