疏水分線

ソガ/疏水太郎のブログです。

宇宙よりも遠い場所(よりもい) 私的リンク集

気になるところを中心に、追加中。

公式情報

メディア (2018/6/25更新)

舞台探訪 (2018/6/25更新)

南極地域観測隊関係

イベントレポート

語り、評論、その他の取り組み  (2018/6/1更新)

緑字は私のメモです。                                                                                                                                                                          

【公式情報】

公式サイト 

監督インタビュー
南極チャレンジ! もっともっと南極を知ろう!インタビューリレー 

MADHOUSEサイト 

『月のワルツ』から『宇宙よりも遠い場所』へ いしづかあつこ監督の軌跡
・連載第1回目(2017年12月25日)
 最新作『宇宙よりも遠い場所』への想い、目指すもの
(2017/12/25 告知:https://twitter.com/Madhouse_News/status/945203963938316288
・連載第2回目(2018年3月24日)
 いしづか監督の原点 デビュー作『月のワルツ』
「みんなで目指す」「みんなで作る」のがアニメーション
(2018/3/24 告知:https://twitter.com/Madhouse_News/status/977429256320921601
・連載第3回目(2018年3月29日)
 初のTVシリーズ監督『さくら荘のペットな彼女』
――『ノゲノラ』へつづくもの――
 (2018/3/29 告知:https://twitter.com/Madhouse_News/status/979294770492092416                                                                                                                                                                           

【メディア】

■ エキサイトレビュー

いしづかあつこ監督と田中翔プロデューサーへのインタビュー。これちょっと訊きたいよね、という程度の話はだいたい出てくるし、それ以上の箇所ももちろん面白い記事です。《お互いに目も見ないで喋っていました。》とか。
インタビュー前編:「宇宙よりも遠い場所」いしづか監督&田中プロデューサー「最初は女の子が主人公のラブコメだった」(ライター:丸本大輔)(2018年3月12日)
インタビュー後編:「宇宙よりも遠い場所」いしづか監督&田中P「キマリたち4人に重ねているのは、自分の高校の頃の友達」(ライター:丸本大輔)(2018年3月13日)

■ MANTANWEB

アニメ質問状:「宇宙よりも遠い場所」 一見してシンプルであること 感情がストレートに伝わるように(2018年01月27日)
田中翔プロデューサーへのインタビュー。

■ アニメハック

新春アニメプロデューサー放談(1)KADOKAWA田中翔氏 「パッケージが売れる作品を作りたい」(取材・構成/五所光太郎(アニメハック編集部))(2018年1月1日)
田中翔プロデューサーへのインタビュー。

■ Webアニメスタイル

サムシネ!

キャラクターデザイン・総作画監督吉松孝博氏の絵日記。第275回以降、よりもいの記事が多い。

アニメイトタイムズ

TVアニメ『宇宙よりも遠い場所』井口裕香×早見沙織、演じるキャラの〇〇かわいいところ!/インタビュー (取材・文/塚越淳一)(2018年1月13日)

名言という視点から引き出された、井口さんの的を射た言葉。《井口:名言を出せるくらい、自分の中でいろんな物事を整理して考えている子なんでしょうね。》日向は整理している、そして、整理してしまう人。

■ コミックナタリー

アニメ「宇宙よりも遠い場所」水瀬いのり&花澤香菜インタビュー(取材・文 / 鈴木俊介)(2018年3月13日)

最終回放送前のインタビュー。

■ Real Sound

『ノゲノラゼロ』&『よりもい』劇伴手がけた藤澤慶昌に聞く 異世界と日常を音楽でどう描くか?(取材・文/中村拓海)(2018年3月20日)

朝日新聞デジタル

女子高生は南極を目指す アニメ製作に極地研が協力(杉本崇 記者)(2017年12月30日)

いしづか監督へのインタビュ-も。

                                                  

■ Febri

Vol. 49 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
p.4 - p.39(宇宙よりも遠い場所・巻頭特集)
【スタッフインタビュー】

- p.6-9 監督 いしづかあつこ(取材・文/前田久

 - p.10-13 シリーズ構成・脚本 花田十輝(取材/宮昌太朗・構成/福西輝明)

 - p.14-15 キャラクターデザイン・総作画監督 吉松孝博(取材・文/前田久

 - p.16-17 音楽 藤澤慶昌(取材・文/宮昌太朗

 - p.18-19 プロデューサー 田中翔(取材・文/宮昌太朗

【ヒロインプレイバック】

- p.20-21 玉木マリ(文/岡本大介)

- p.22-23 小淵沢報瀬(文/宮昌太朗

- p.24-25 三宅日向(文/前田久

- p.26-27 白石結月(文/夏葉薫)

【Febri Art Style

- p.28-31 美術監督 山根左帆 インタビュー(取材・文/宮昌太朗

【『よりもい』ファンのためのFebri流南極ガイド】(取材・文/岡本大介)

- p.34 国立極地研究所 本吉洋一さんへのインタビュー

- p.26 じんから 堅谷博さんへのインタビュー

Vol. 47 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
p.62  Febri RECOMMEND  宇宙よりも遠い場所 (文/夏葉薫)

よりもいの輪郭ハイライトに対するエレガントな視点を提示。よりもいの白は必ずしも光線を反映しておらず、塗り残しの白に近いものであり、そこから彼女たちの地の質感が透視されている。

p.170 - 173  宇宙よりも遠い場所 監督/いしづかあつこインタビュー(取材・文/前田久

4人のいる場所・話の進行に伴う色彩設計の変化ついて。絵コンテを切るときに必要なこと、制作チームが南極に触れていったプロセスが詳しい。

■ エキサイトニュース

『月のワルツ』から10周年!『ハナヤマタ』『ノゲラ』...職業アニメ監督として生きるいしづかあつこの半生(取材・文/真狩祐志)(2014年12月8日)

いしづか監督の制作に対するスタンスはこちらが詳しい。《個人でアニメを作りたいって欲求は一切なくて、目指してるのは集団作業です。》《そこに私の個性が反映されてるんだとしたら、それはたまたまにすぎなくて、やってるうちに頭の中でかみ砕く作業は入ってくるので、そこからにじみ出たものを『個性』として捉えていただけるんでしょうね。今までの作品で、私個人のメッセージがどれだけ入ってるかというと、メッセージなんて詰めてないので謎です。》よりもいで初のオリジナル作品の監督をされて以降のインタビューでも、この姿勢は変わっておられない。

ノーゲーム・ノーライフ

原作・榎宮祐氏&監督・いしづかあつこ氏よりコメント到着!

ノーゲーム・ノーライフの時のいしづか監督のコメント。

ウルトラジャンプ

・2018年4月号 p.512-513

 いしづか監督インタビュー。

月刊ニュータイプ

・2018年1月号 p.84-85

 いしづか監督インタビュ-。描き下ろしイラストは高橋美香(スタジオ・ライブ)。

・2018年2月号 p.82-87

 いしづかあつこ×花田十輝インタビュー。ふたりの協同の過程がどうだったのか最もよく判る記事。 描き下ろしイラストは高橋美香(スタジオ・ライブ)。

・2018年3月号 p.46-47

 キャスト座談会(水瀬、花澤、井口、早見)。描き下ろしピンナップは竹腰充保(株式会社グロム)。

・2018年4月号 p.42-43

 花田十輝インタビュー(ショート)。4人の友情が物語の柱となったきっかけは第3話。第10話の起点となり、キマリからめぐみへの思いにも影響。 描き下ろしイラストは HIROKO WATABE。

・2018年5月号 p.98-99

 最終話放送後のいしづか監督インタビュー。花田脚本(台詞)の効果、11話での挑戦、12話にあまり音楽を付けていない理由、キャラデザの狙い、など。 描き下ろしイラストは大島美和(スタジオ・ライブ)。

 

                                                                                                                                                                           

【舞台探訪】

館林くらし

ナカヤマコン様個人運営の館林地域情報メディア。よりもい現地情報が充実。まずはここから。

「宇宙よりも遠い場所」聖地巡礼ガイド 記事一覧

■ よりもい関連についてをまとめるところ 

Itsuki 様の個人サイト。実際の旅行プランと店舗の定休日情報、巡礼ノート設置店情報がお役立ちです。

1泊2日で巡る、宇宙よりも遠い場所 館林周辺聖地巡礼

xckb的雑記帳 

ほそかわ たつみ様の個人サイト。舞台探訪以外の文章も充実。

https://xckb.hatenablog.com/archive/category/宇宙よりも遠い場所

疏水分線 

私のサイト。第2話の歌舞伎町逃走ルートを地図にしました。

よりもい第2話より、歌舞伎町ストライド オルタナティブ

 

                                                                                                                                                    

南極地域観測隊関係】

世間がもし30人の基地だったら

第57次日本南極地域観測隊員 みなもとやすひろ様のブログです。よりもいに関する記事はこちら。

http://nankyoku-30nin.hatenablog.com/archive/category/よりもい

第59次南極地域観測隊 ~越冬隊員の記録~

第59次南極地域観測隊(JARE59,59th Japanese Antarctic Research Expedition)に参加する隊員の方の記録です。

2018.04.01宇宙よりも遠い場所-聖地巡礼?その1-
2018.04.03宇宙よりも遠い場所-聖地巡礼?その2-
2018.04.04宇宙よりも遠い場所-聖地巡礼?その3-
2018.04.05宇宙よりも遠い場所-聖地巡礼?その4-

 

                                                                                                                                                                          

【イベントレポート】

xckb的雑記帳 

ほそかわ たつみ様の個人サイト。いしづか監督と吉松孝博さんの参加されたアニメスタイルイベントのまとめが有り難いです。

感想・レポート「第144回アニメスタイルイベント 南極到着記念!『宇宙よりも遠い場所』を語ろう!!」

イベントで触れられていた、色にブラックを使わないというよりもいの色彩設計は、同じくいしづか監督のハナヤマタと共通ですね。ハナヤマタのブラックを使わない色彩設計については「ハナヤマタTVアニメ公式ガイドブック」でいしづか監督が詳細に紹介しておられます。

宇宙よりも遠い場所 × 国立極地研究所 コラボイベントに行ってきました

 ■ NOLIA様のpixivページより

宇宙よりも遠い場所×国立極地研究所イベント、レポ
チャレンジングSHIRASEwithよりもい、レポ

                                                                                                                                                                          

【語り、評論、その他の取り組み】

■ CLIP* CLAP* 

さけとめ様のtumblrより、宇宙よりも遠い場所の感想。感想とは随想を伴っていて欲しいと思うので、好きです。
http://yrkhang.tumblr.com/tagged/宇宙よりも遠い場所

xckb的雑記帳 

そろそろ「宇宙よりも遠い場所」についてちゃんと語ろう

ほそかわ たつみ様の個人サイトより。

■ Paradism 

shirooo105様の個人サイト。よりもいの記事はこちら。

http://shirooo305.hatenablog.com/archive/category/宇宙よりも遠い場所

cublic in another  

kokonosotose様の個人サイト。よりもいの記事はこちら。

http://mkcubic.hatenablog.com/archive/category/宇宙よりも遠い場所

 

吾ただ足るを知らず。  

烏粋京輔様の個人サイト。よりもいの記事を探して読みましょう。第5話、第11話あたり。

■ 社会人から教員に 

きたまこと様の個人サイト。現役教員の視点で見る愛情あふれるよりもい話。

イマワノキワ 

宇宙よりも遠い場所:第1話から第13話 感想ツイートまとめ

コバヤシ様の個人サイト。レトリカルな疾走。
  

■ 宇宙よりも遠い場所 BGMリスト

kaz382 様による、13話分のBGMリスト。サントラにない音源も調査されています。すごい。

BGMリスト:https://t.co/w2JZNWYT1k

関連Tweet:

https://twitter.com/kaz382/status/988396447845380097

https://twitter.com/kaz382/status/989474937806012417

於鳥制作所 

映像制作のお仕事をされている於鳥制作所様のサイト。
・構図研究 『宇宙よりも遠い場所』 10話より
https://otori-production.jimdo.com/180417/
 
 
 

白石結月さん、絵手紙まとめ(1)

宇宙よりも遠い場所(よりもい)より、pixivに投稿した結月さんのまとめです。描いた順なので、作中の時系列とは違ってます。上から新しい順。

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東武線の情報はこちらで教えて頂いたものです。 https://twitter.com/tsu__chan/status/994645537172307968

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よりもい第2話より、歌舞伎町ストライド オルタナティブ

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アニメ「宇宙よりも遠い場所」第2話で歌舞伎町を駆け回った3人と2人の軌跡を描いてみました。

あの夜、みんながどんな風に走ってたのかを、もっと考えていたかったのです。

それで、そうするためには矢印を描くことかなと思って、報瀬さんの「逃げて!」に始まる猛ダッシュをカット番号1として、全52カットの動きを矢印で追えるようにしました。

こうして全力で疾走して、さっと別れたりまた合流したりすることによって、普通の街がアトラクションみたいに見えてくるのは面白いですよね。いしづかあつこ監督はプリンス・オブ・ストライド オルタナティブのときもそんな楽しくて爽快な映像を作っておられたように思います。

 

さて、地図のほうはちょっと説明がいるかと思いますので、以下で見てゆきますね。

(地図はスワイプかクリックで大きく表示されます。)

【場所A】エロうま野菜と肉寿司 カンビーフ歌舞伎町店(作中では「エロうま!肉バル」)

 南極観測隊員親睦会の会場です。メンバーがお店の前へ出てきます(そして結月さんも初登場)。

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【場所B】無料情報館看板

 報瀬、キマリ、日向の3人が潜んでいる場所です。角から顔を出すと、場所Aの様子を窺うことができます。

 日向「昭和か!」

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【カット1】疾走開始!

 かなえさんと弓子さんに見つかって、報瀬さんの「逃げて!」の声で3人が走り始めます。

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【カット2】【場所C】TOHOシネマズ新宿のゴジラヘッド(作中では牛の怪物)

 弓子「コォラーーーッ!」

 ときどき吠えて煙を吐く東宝ビルのゴジラです。ゴジラはさすがにまずいので、別の怪物になってますね。

【カット3から5】疾走する3人。

 キマリ「日向ちゃんはやい」

 日向「いちおう短距離だったらな。別れたほうがいいんじゃないのか?」

 背景はループですが、【場所D】ラーメン王 のメニュー写真が見えるのでここに矢印を描きました。

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【カット6】【場所E】ラーメン・どうとんぼり神座(かむくら)

 かなえさんは普通ですが、弓子さんは日向さん同様陸上選手みたいな腕の振り。日向さんは速いが、弓子さんも速い、という絵がこの後も続きます。

 あと個人的な話で恐縮ですが、わたしは神座のラーメン大好きです。

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【カット7】

 報瀬「携帯で!」

 カット3から5と同じ場所です。ここから【場所F】の角へワープします。

【カット8,9】【場所F】喫茶室ルノアール前(作中ではルノワール)

 ルートが別れる見せ場。

 日向さんが左へ、キマリさん、報瀬さんが直進です。

 続いてやって来る弓子さんが速いほう(日向さん)を追って左へ、かなえさんが直進するという見事な息の合いよう。喋りながら走る3人とは対照的に、声を掛け合うまでもなく二手に分かれる2人が格好いいですよ。

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【カット10から21】【場所G】思い出の抜け道

 報瀬さんが広い道を行こうとするのですが、キマリさんが気づいて思い出の抜け道へ報瀬さんを押し込みます(カット10)。チェイスでは欠かせない感じの物が多くて狭い路地です。

 キマリ「うん、ただ、楽しいなぁて」

f:id:kgsunako:20180415134705p:plainカット10

【カット22,23】【場所H】ゴールデン街・新宿遊歩道公園四季の道

 一帯はゴールデン街ですが、入口の手前で曲がって四季の道を走ってゆきます。

 日向さんが楽しそうな表情で疾走するのを見ることができる良いカットです。

 ちなみに、この緩やかにカーブした小道はかつて走っていた都電の線路跡。

f:id:kgsunako:20180415135103p:plainカット23

【カット24,25】キマリの青春

 キマリ「わたしの青春、動いてる気がする!」

 キマリさんと報瀬さんのふたりが、ぱっと二手に分かれる絵。ここからはキマリさんも独りになって、キマリの青春が動き始めます。挿入歌の「宇宙を見上げて」もちょうどサビに入るので震えますね。

f:id:kgsunako:20180415135318p:plainカット25

【カット26】キマリ疾走

  走るキマリさんの足元の絵です。これがどこなのかは判らなかったので、次との接続も考えて靖国通りに矢印を描いてみました。

f:id:kgsunako:20180415135506p:plainカット26

【カット27から29】【場所K】外呑みの美味小屋

 日向さんが居酒屋とまり木(作中では泊木)の角を曲がり、路地で外呑みしているお姉さんたちのほうを見ています。いったん看板に体当たりしてしまう勢いがよいですね。

f:id:kgsunako:20180415135620p:plainカット28

【カット30】【場所I】新宿大ガード東

 こちらの歩道橋は探したのですが、見つかりませんでした。後のカット33,34の風景からすると、ここになくてはならないのですが、多分、どこか別の場所にモデルとなった歩道橋があると思います。

f:id:kgsunako:20180415135743p:plainカット30

【カット31,32】【場所J】ロボットレストラン

  ロボットレストランの前を抜けて行く報瀬さんです。

f:id:kgsunako:20180415135907p:plainカット32

【カット33,34】歩道橋を走るキマリ

  ここで走ってるキマリさんが好きでして。ロングショットで撮られた疾走する彼女の姿は、この街で彼女だけが生きる喜びを知っていて、だから彼女は走っているんだ! というぐらいの出来事が起こっているように見えるのです。

 この歩道橋を探したくて歌舞伎町まで出かけたのですが、見つかりませんでした。西新宿側の新都心歩道橋かもとは思いましたが、周囲の絵や色が合わないし場所も遠いので採りません。

 しかし、歩道橋の背景は【場所I】新宿大ガード東から靖国通りのほうを見たときの風景ですので、矢印はここに置いています。

 見つからなかった時は残念でしたが、今はむしろ、実際にはありえない風景であることが特別に思えます。

f:id:kgsunako:20180415140357p:plainカット34

【カット35,36】日向ソーシャルステルス

  日向さんが外呑みしてるお姉さんに交じって弓子さんをやり過ごそうとする屈指の面白カットです。手を振ってくれる陽気なお姉さんたちもいい。

f:id:kgsunako:20180415140544p:plainカット36

【カット37,38】【場所L】新宿サブナード駐車場入庫口(作中では新宿サブマリン)

  報瀬さんの靴が脱げるのは、駐車場入庫口前の横断歩道です。

f:id:kgsunako:20180415140929p:plainカット38

【カット39から41】報瀬のバトン

 靴はキマリさんが拾って報瀬さんと合流します。

 まるでリレーで報瀬さんの落としたバトンをキマリさんが拾ったみたいな、キマリさんのフォローが輝く場面です。

 リレー形式のプリンス・オブ・ストライドでは走者交替(リレーション)のための合流がコミュニケーションの要点だったことが思い出されます。

f:id:kgsunako:20180415141044p:plainカット39

【カット42】謎のコンビニ

  コンビニ前を日向さんと弓子さんが駆けてゆくのですが、どこのコンビニなのか探し当てることができませんでした。

 ここではありませんが場所が余ってる靖国通りの上に矢印を置いておきました。

f:id:kgsunako:20180415141225p:plainカット42

【カット43から49】ラストラン

 パチスロ地帯を全員で駆けて行くラストランです。南から飛び出てきた日向さん(カット47、49)と西からやってきた報瀬さんキマリさん(カット48)が見事にごっつんこ。

f:id:kgsunako:20180415141504p:plainカット46

【カット50,51】【場所M】日本鮮魚甲殻類同好会(作中では日本甲殻魚介類同好会)

  ついにお縄です。お疲れ様でした。

f:id:kgsunako:20180415141736p:plainカット51

【カット52】

 その後の3人と2人は喫茶室ルノアールで話をすることになります。 

 

f:id:kgsunako:20180415141851p:plainカット52

 

歌舞伎町を駆け抜けた3人と2人の軌跡の紹介は以上となります。いわゆる聖地巡礼をした後に、Google ストリートビューで細かいところを詰めて作成しました。

照らし合わせてみると軌跡にはワープ箇所がありますが、作品上の描写は実際の位置関係に縛られる必要はないものと思います。それでもあえて、本記事では彼女たちが全力で走っている姿を作品外の角度からも感じられるようにしたかったので、矢印を引いて表現してみました。

矢印を引くなかでこれどこなのか判らないとしたカット26は、キマリさんの走る足元と流れる背景だけで、他よりも手がかりがずっと少なくなっています。ここから歩道橋(カット33、34)までのキマリさんは内なる言葉を伴っていて、彼女はロケハンで描かれたあの街から浮揚して、青春なるものへと迫っていたのかもしれません。最後の歩道橋に至っては先に述べたよう他の風景と成り立ちが異なっていて、そういうありえないみたいな場所へ届きそうな瞬間が、あの疾走のなかにあったのだと思います。

また、3人の軌跡を改めてなぞってみると、報瀬さんと報瀬さんについて来たふたりで3人一緒だったのが、走り出してからは1人別れ、また1人別れ、ついには3人バラバラになって、別れたひとたち(日向さん、キマリさん)はもうそれぞれ勝手に1人で笑顔になって走ってるの、本当いい絵だと思います。3人揃ったばかりの彼女たちだけど、いったん別れることで「わたしの青春」が加速してゆく。

 

ここまで読んでくださった方にとっても、あの素敵な夜の、報瀬さん、キマリさん、日向さん、そしてかなえさん、弓子さんの勇姿を振り返る一助となれば幸いです。

 

 (2018年4月15日 疏水太郎)

 

※本記事のカット番号は独自に振ったものです

※番号と絵を照合できるよう、アニメ作中の画面を引用させていただきました。

 なお引用に際しては、トリミングを行っております。

 引用されたアニメ作中の画面の著作権は、(C)YORIMOI PARTNERS 様にあります。

 

 

結月さんと、絵柄のルーツ

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よりもい×極地研コラボイベントで白石結月さんを撮ってきた写真があまりに可愛いかったので、まだあまり見てない第4話を見直して、結月さんの可愛いやつをばしばし撮る作業をして終わったところです。

結月さんの編み込みを数えてるうちに、お出かけのときいつもは左に1つだけある編み込みが、第4話のキャンプでは左右2つに増えていることが判りました。おでこを両側から引き締め、後ろのしっぽへぎゅっとまとまり、うなじの傍をジャケットへ流れ込む髪のラインがたいへん可愛いのですよ。

お風呂で髪を解くのか、第3話のパジャマのときや部屋着のジャージのときは編み込みが消えてます。第4話の合宿ではこのジャージが初登場、以降、船内や基地内の部屋着となっています。

キャンプでは洗髪しませんので、髪を解かずに寝る、というこれまたレアな様子を見ることができます。第4話の結月さんも最高でしたね。変顔もありますし。

 

描いていて、この目が大きくて線のしっかりした感じを以前にも描いたように思えて、ああ、そうそう、GJ部の天使恵さんの時だったと思い出したのでした。

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原作の挿絵あるやさんの可憐でぱっちりとした絵柄から、アニメでは大島美和さんが大胆な表情を描き出しておられて、とても好きです。(天使恵さん、意外におもしろいお顔が多いのですよ。)

大島さんも、よりもいの吉松さんも同じスタジオ・ライブで、個人的には芦田さんに始まって、表情の大胆さが記憶に残ってるのは偶々なのかも知れないけれど。ワタル、グランゾート、サイバー・・、ってあの頃に見ていた絵のこと。自分の絵を設定画のほうへ寄せて描こうとしてみると、自分の絵ではないけれど自分の辿ってきた記憶にあらためて触れることもあります。

 

 「宇宙よりも遠い場所」×国立極地研究所 コラボイベント|立川観光協会

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 楽しかった。

 

2018年3月31日 疏水太郎

 

桜より少し前の季節に

小鳥桃葉の話をしたい。おどりももは、と読んでほしい。

アニメ《がくえんゆーとぴあ まなびストレート!》の放送10周年が記念され、dアニメストアでの配信が始まった。*1 放送当時には6話までしか見てなかったので桃葉のことはあまり判らなかったが、この機会に最後まで見ていっぺんに好きになった。

1.生徒会室の居候

高校の生徒会が舞台の作品で、まずは役員でないメンバーが割と部屋に居着いてるところが良かった。生徒会長のまなび、書記のみかん、はじめの役員はこのふたりだけで、助っ人で来ているむっちー、出入りするうち途中で役員になっためぇ、そして報道部だけどなぜかよく居る桃葉、生徒会室のメンバーはこの5名である。

こうした構図は第2話であっという間に築かれている。ムービーカメラを手に生徒会室へついてきた桃葉は、既にこの部屋のメンバーみたいに思われている。部屋のリフォームを取材する桃葉に対してはこうだ。

めぇ「ちょっと、あなたも手伝いなさいよ!」

桃葉「わたしは、生徒会役員じゃないしー」

めぇ「わたしだってそうよ!」

桃葉「じゃあ、なんで手伝ってるんですか?」

めぇ「べ、べつにいいでしょ」

 役員でもないのにペンキ塗ってるめぇも良いし、めぇが桃葉のことを既に数に入れてるのも良い。なんで手伝ってるかなんて知るか。同じ部屋を何度も訪れたことそれ自体が理由だ。めぇも、桃葉、あなたもそうでしょうよ。

それにしたって、桃葉は生徒会の仕事をしない。役員でなくとも仕事はしているむっちーやめぇとは違うのだ。桃葉は彼女らが仕事をしてる横で何もしてないか、別のことをしているかである。あまりに生徒会みたいな顔してそこに居るから気づかなかったが、もしやと思ってシリーズを初めから確認したら、メンバーと一緒に部屋にいたり一緒にどこかへ行くことはあっても生徒会の仕事はやらない。生徒会室から見れば桃葉は居候といってもよい。

 生徒会室の鷹揚さについては、第2話の上の続きでまなびが語っていることだろう。

まなび「たまり場、たまり場を作りたかったんです」

まなび「ここは、この学園が大好きだったら、誰でも大歓迎なカフェです。生徒会役員じゃなくてもオッケーです。」

 生徒が生徒会室を訪れる様子は後に少し描かれるが、このたまり場へやってくる生徒の代表格が桃葉であった。

 

2.三杯目には sotto voce

第6話までの彼女らは、生徒会室という場所に、またお互いに受容されていった。その一方で、第7話の前半では生徒会室メンバーがみな桃葉へ素っ気ない対応をする場面が描かれていて少々きつい。夏休みの終わりで生徒会の仕事が切羽詰まってるときに、桃葉が関係ない話を振ってくるからではあるが、それまでの様子との落差は感じた。第10話で桃葉からの手のひらタッチをめぇがスルーするのもなかなかきつい。ギャグ風味ではあるのだが。

 この温度差を見て、桃葉はなんでこの生徒会室に出入りしてるんだったっけな、ということを改めて考えたのだ。みんなからの温かい反応を期待してるから、というよりもっと、まなびがなんか面白そうに思えたから、という第1話、第2話あたりで彼女が得たであろう直感、その自分が面白いと思える気持ちにずっと忠実で、メンバーからそっけなくされても、まぁそれは二番目くらいになる問題で。

しかし、そういう一方的な好意は、まぶしいものではないだろうか。

第9話で桃葉が映像ジャックしたことは、結果として生徒会室のメンバーを動かすが、先生に取り押さえられた桃葉がその後みんなに感謝された様子も描かれないのは美点だったのではないか。じっさいメンバーが感謝してないということではなく、そうした様子を描写することが桃葉にとって余分で。

桃葉が面白いと思って好意を抱いた気持ちの集成が、ライブステージへまなびを押し上げたこと、花火、そして、彼女のフィルムであった。

 

 3.居候≒ナカマということ

居候とは私が勝手に呼んだ言葉であるが、作中には《トモダチからナカマへ》という標語があるため、そちらに沿うかたちでも話しておきたい。《トモダチからナカマへ》はみかんとめぇが考えた学園祭の標語である。作中でのナカマが何を指すかは、ほぼ第10話が答えといって良いだろう。第10話の題は《集う仲間たち》であり、集った生徒たちがどういう様子だったかといえば、みんなで一緒に何かをやった、そのことが良かったのだった。

めぇ「みんなでやる学園祭は楽しいに決まってる、か」 

 この、みんなでやる、とは何かをもう少し掘り下げると、

めぇ「ナカマと何かをすることの楽しさを知ったから」 

 でして。何かを一緒にするとき、その相手をナカマと呼ぶことができる。じゃ、トモダチってなんなのよ?

 《トモダチからナカマへ》であるから、トモダチは何かを一緒にはしないのね。トモダチって言える関係と、一緒に何かするっていう行為を彼女らは分けて捉えているのである。

桃葉って彼女らのトモダチなんすかね、ナカマなんすかね?

同じ生徒会の役員ならトモダチくらいは言っても良さそうだけど違うし。他のメンバー同士みたいにふたりだけで手を繋いだり、抱きついたりってのもしてない。トモダチって呼んでもいいだろうけど、他のメンバーと違ってる独特の関係を何かここで言い表せないだろうか。

 

だけど、そうよ、ナカマはわりと近いんじゃないかな。確かに生徒会の仕事はしてなかったけど、一緒になんかはしてて、新生徒会室の掃除のときも彼女だけ肝試しやってたけど、ああいうのはもう一緒になんかしてたといってもいいんじゃないか。関係は不明、作中で桃葉の肩書きは《謎》と書かれていた。だけど、行為だけはあった、ということ。トモダチとはすっきり言えないかもしれないけど、ナカマとは言えそうで、そうすると桃葉はナカマの代表格としてシリーズを通してそこに居てくれたんじゃないか。別のことをしてたって一緒に何かをしていることは出来る、という極端なその行為のあらわれとして、さ。

最終回ではおさらいみたいにもう一度、彼女の立場が確認される。

むっちー「えっ、うち? ていうか、正式な役員じゃないんですけど」

桃葉「気にしない気にしない」

めぇ「そういう小鳥さんも、正式な役員じゃないし」

桃葉「気にしない気にしない」

桜舞う卒業式の日に、もう一度、何を確認したのだろうか。桜の花はこの作品のモチーフとして繰り返し用いられてきた。ここでは桜の意味は問わない。むしろ、3月3日、桃の節句に生まれた桃葉のことを思おう。桜より少し前の季節に桜みたいに咲く桃花の、近いようで遠い色に触れよう。

友達より少し後ろでカメラを回す彼女のことを話そう。

 

(2018年3月25日 疏水太郎)

 

送り出される声について

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《劇場版 響け!ユーフォニアム》はおよそテレビシリーズ版の再編集ですが、声をぜんぶ録り直したり新しいカットもあるということなのでむむむと集中して観てきました。帰宅してからお風呂に入ったりしてぼーっとしてるうちに黄前さんの声や作品中の音について改めて思うことがあったのは、劇場版に刺激されたからかもしれないし、テレビシリーズから1年が過ぎて少し距離を置くことができたからかもしれません。

わたしは黄前さんの声の様子に引き込まれて、テレビシリーズ第1話の冒頭をなんども繰り返し見たものでした。ここでは吹奏楽コンクールの場内がざわめくなか、黄前久美子さんのつぶやきだけが漏れ聞こえてきます。ひとりごとだった声のそのまま続きであるみたいに、次の声は彼女の隣にいる少女へと向けられます。ひとりの声は黄前さんと高坂麗奈さんひとりずつの声になって、そこで黄前さんがまたひとりごとのように漏らした声から、ふたりの会話が始まるのです。

黄前「本気で全国行けると思ってたの」

高坂「あんたは悔しくないわけ」

話の筋としてはこの会話が黄前さんと高坂さんのふたりを引き寄せ合ってゆくのですが、わたしはここで黄前さんがひとりごと以上会話未満で声を送り出してゆく様子が神秘的に思えて、強く惹かれたのでした。

 

今日になって思ったことは、黄前さんの声がこんな風にわたしに飛び込んで来たのは吹奏楽コンクールの結果発表があったことと、その発表を受けて場内がざわめいていたからじゃないかということです。それはぜんぶ、第1話の冒頭で黄前さんが声を発する前に起こったことです。はじめ黄前さんは同じ部の佐々木さんと一緒に結果発表を待っていて、佐々木さんが黄前さんに話しかけています。そして結果発表のあと佐々木さんは席を立って黄前さんだけが残されます。しかし、それまでふたりで居て、周りの人のざわめきにも満たされていたなか、不意に人の声が消えて静かな劇伴へと切り替わります。ひとり残された黄前さんの「金だ……」というつぶやきが送り出されたときにはもう、周りの人、周りの声から切り離された黄前さんだけの時間が始まっているのです。心のなかが漏れてくるみたいなひとりごとの時間のなかで、周りの声を遮断した劇伴のままに、高坂さんへ向けて声が送り出されてゆくのを聞くたびにわたしの胸が震えます。

ひとりになって、周りの声も聞こえてこないのに、隣で高坂さんが泣いてる声だけが聞こえてくるんですよ。

黄前「高坂さん、泣くほど嬉しかったんだ」

これはまだひとりごと。だけどこのあとすぐ高坂さんへ視線を向けての

黄前「良かったね、金賞で」

って、ひとりごとの続きのままで、隣のひとに声が送り出されるのですよ。

高坂「くやしい、くやしくって死にそう。なんでみんなダメ金なんかで喜べるの、わたしら全国目指してたんじゃないの」

それを受けた高坂さんの声も、くやしい、って自分の気持ちが誰に向けるでもなくそのまま口に出てるのと、《みんな》《わたしら》のことを言ってて、直接黄前さんへの返事でないように聞こえます。そのあとようやく

黄前「本気で全国行けると思ってたの」

高坂「あんたは悔しくないわけ」

ここで《あんた》が出てきてついに黄前さんと高坂さんの会話になったように思えるのです。

だからね、周りから切り離されたひとりの声がすこしずつスライドして、繋がって、会話になる。その会話になるまでのところで、ひとりのはずが隣に人がいて、どうしてそちらへも声が送り出されてゆくのか、そういうことがとても不思議で、魅力的なのです。

 

【誰がきいてるかなんて知らない】

思えば黄前さんと高坂さんというのは、周りの声なんて知らない、ふたりだけが声を交わしてる時間がこのコンクールの日にあったのですね。県祭りの夜、大吉山でふたりだけで演奏したことはその再演だったと言えるでしょう。

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私が大吉山へ登ったのは昼間のことでした。JR奈良線が宇治川橋梁を渡る音がこの大吉山展望台まで聴こえてきました。あの夜、県祭りの喧騒は大吉山まで届いたでしょうか。あるいは、ふたりの演奏は地上の県祭りまで届いたでしょうか。

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そういえば、高坂さんが学校脇の高台でドヴォルザーク「新世界より」を吹いていたとき、それは黄前さんが聞いていました。だけどあのとき高坂さんはべつに黄前さんに聞かせようと思っていたわけじゃなくて、自分が吹きたいから、ただ自分の時間のなかでひとり吹いていたのだと思います。

そうして、県祭りの夜のことをもう一度、思い出したいのです。あの夜はみんな周りのことなんかよりも大切な自分や自分たちのために過ごそうとしてたと思うんですよね。三年生組、二年生組、加藤さん、川島さん姉妹、長瀬さんと後藤さん、そして高坂さんと黄前さん。展望台からの演奏が仮に誰かに届いたとして、誰が聞いてるかなんて知らなくって、ふたりで吹きたかったから吹いた。

ただ、かつて黄前さんが聞いたように、わたしのところにもそれが運良く聞こえてきたということなのでした。

誰がなんと言おうと知らないって風に黄前さんが高坂さんのオーディションを支持するとき、大吉山でのふたりの演奏が思い出されるのです。あのとき、黄前さんのところに高坂さんの音が聞こえてくるんじゃなくて、黄前さんは高坂さんの隣で音を送り出していて、そうしていると周囲の音は静かになっていって、ひとりみたいなふたりみたいな時間が生まれて、ほかの誰のことも関係ないよって気持ちになるんじゃないでしょうか。

 

天球儀植物園へ

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【まえがき】

 サクラノ詩、という作品についてはあまり言葉にならないです。答えは自分の暮らしの中に織り込んでゆこうと思いました。

 ただ、それでも、暮らしというよりは私自身の天体嗜好症に引き寄せて、かつて空想していたことと響き合ったり、新たに発見した美しいことがありました。だから、サクラノ詩が天体を参照する際に私が感じたきらきらをどうにかこうにかここに並べてゆきます。

 

【星めぐりのハンドル】

 冬の夜空に見えるのは冬の星座ですが、深夜を過ぎると東の空から春の星座が昇ってきます。冬の花は冬に、春の花は春にしか咲かないけれど、天の星座は一日のうちに季節の移ろうことを、夜更かしのあなたは知っています。

 星と花の季節の巡りを魔法として備えたのが天球儀植物園でした。これは私が20年くらい前に空想した施設で、ずっと考えているうちにいろんな形をとりましたが、そこには星と星を回す機械があって、それが巨大な温室に収められているという点は共通していました。

 1995年の覚え書きによると、天球儀植物園はとある王国の万国博覧会にあって、少年たちが夜な夜な遊び回って互いにキスなどしていた場所のようです。少年時代の好きとか嫌いっていうのは瞬間的に激しく、また曖昧にうつろうものだったように思われました。心底憎んだ人とでも翌日にはじゃれあっていたり、月の単位で変わってゆく仲良しの関係、昔の仲良しとはほとんど口もきかなくなったことに戸惑いを覚えたり。そんな子供同士の関係の不思議についてあなたに伝えたいと思っていました(1995年11月5日)。

 1997年の覚え書きによると、舞台は大阪の鶴見緑地にある花の万博(EXPO'90)跡地でした。万博跡地には咲くやこの花館という名の大温室が今も残されています。私の想像によるとこの温室の中心にはプラネタリウムの投影機のような機械があって、夜になると天井のガラスに夜空が投影されます。あなたは鶴見緑地に生まれた子供たちで、この機械の秘密をさぐるために夜の温室へ忍び込んだのでした(1997年10月5日)。

 また、同じ頃にこのようなメモもありました。それはジュール・ヴェルヌの小説に憧れて冒険写真家になった女性の話でした。彼女が最後に撮った故郷の大温室の写真は水晶宮と題されていました。彼女が眠るとき、その夢は少年の姿となって、かつてのロンドン万国博覧会を映し出す温室のなかを駆け回ります。そしてあなたは温室に出るという幽霊を取材するうちに、この写真家の夢に触れたのでした。

 1998年の天球儀植物園は、半円球のガラスを天蓋に持つ植物園でした。中央に置かれた星光投影機のハンドルを回すと、植物園の草木の四季を巡らせることができて、春の花から夏の花、夏から秋、秋から冬へ、たちどころに変化してゆきます。それはまるで浦島太郎に出てくる四季の部屋のようでした。竜宮城にあるその部屋から東西南北を見渡すと、草木の四季がひと巡りするのだといいます。この星めぐりのハンドルにも四方四季の魔法が掛けられていたというのでしょうか(1998年1月10日)。

 

【天球儀の鏡像】

 夜空が背景の絵として描かれるとき、特定の意図がない限りは星を表す点描がそれっぽく並ぶだけで、実際の星空のままに描かれることは珍しいものです。私は人がどういうつもりで星空を描くのか興味があって、星空の絵を見る時はいつも実際の星空との一致を確認することにしています。

 だから、サクラノ詩のZYPRESSENの話では、糸杉の夜空に実際の冬の星が描かれているとすぐに判りました。だけど、何かが強烈におかしいのです。3秒ほど経って、そこに描かれたオリオンとおうし座の星図が左右反転していることに気が付いて怖くなりました。単に夜空が鏡像になっているというだけでも怖いのですが、そこから想像を進めると、まるで私たちの見る天球をその外側から覗き込んでる誰かがいるような、そんな気にもさせられるのでした。

 鏡像の夜空は天球儀に描かれます。天球儀において、私たちが立つ地球は天球儀の中心にあります。であれば天球儀の表面に描かれる星座は私たちが見る星座の鏡像で描かれていることもすぐ了解いただけるものと思います。こうした天球儀と学者を描いた絵がいくつも知られており、かつて天球儀を手にする人は世界の外側に立つような知を得たと思えたのでしょうか。2015年のルーブル美術館展@国立新ではフェルメールの《天文学者》を見ることができました(The Astronomer (Vermeer) - Wikipedia, the free encyclopedia)。2016年のボッティチェリ展@東京都美術館では《書斎の聖アウグスティヌス》(Saint Augustine in His Study (Botticelli, Ognissanti) - Wikipedia, the free encyclopedia)を見てきました。そんな天球儀はPicaPicaのエンディングムービーにも描かれています。絵のなかの天球儀というのは象徴的な意図を持って描かれてきたようですが、PicaPicaのそれはどちらかといえば天体に関する美しいものの一つとして置かれたように私は思いました。そう思えるくらいに、サクラノ詩において天体が参照されることは特別ではなくありふれているのです。

 なお、後の章では反転していないオリオンとおうしも描かれますので、ZYPRESSENにおける反転は偶然や手違いではないでしょう。ともかく恐怖を煽られるのですが、それはZYPRESSENにおける氷川里奈の差し迫った様子に寄り添う感じがありました。

 

【プラネタリウムの季節】

 ドーム状の建物といえばなにを連想しますか? 私にとってそれはプラネタリウムであり、また植物園の温室でもあり、そうした想像から天球儀植物園というものが生まれました。

 氷川里奈と草薙直哉は夜の公園のドームの内側に糸杉の絵を描いてゆきました。最後に直哉が描き加えた明るい色は星と見紛うものでしたが、それはわざわざ否定されています。

《「ああ、星じゃない。ここに描かれているのは全部、桜の花びらだ」》

 直哉は星の日周運動を吸い込んで、木々の季節を巡らせます。これこそが櫻の芸術家の真骨頂でした。私はZYPRESSENより前にもうPicaPicaを読んだときに同じことを感じていて、同じものをZYPRESSENでもまた見たように思いました。それは、PicaPicaのエンディングムービーにおいて天体に寄せて描かれていたことでした。

 月には桂の木が生えているという伝説があります。この話を聞いて以来、私は桂の木を特別なものと思うようになりました。かつて私の書いた桜という名の少女の弟は桂という名でした。そのとき既に桂は他界していました。私は桂を美しく悲しく偲ぶ対象のように思っていたのかもしれません。一方、PicaPicaのエンディングムービーでは最後に月から桜の木が力強く伸びていました。その絵に出会ったとき、私のなかにあった桂の木は櫻の芸術家によって見事に描き変えられてしまったのでした。

 どういうわけか、サクラノ詩と私にはそうした縁があるのです。

 

【圭の昇天】

 戯曲シラノ・ド・ベルジュラックは素晴らしき日々で幾度も引用されていましたが、サクラノ詩でもまた私はシラノを感じました。シラノというのは17世紀の実在の人物で、彼を題にとった戯曲がエドモン・ロスタンのシラノ・ド・ベルジュラックとなります。サクラノ詩においてこのシラノを感じさせるのは、PicaPicaにおける月の存在です。月といえばシラノは月世界旅行記という著作を残しており、これがロスタンの戯曲でも参照されて、舞台の名場面のひとつとなっています。

 ここではまず、シラノが地上から月へ昇るために発明した七つの方法のいくつかをご紹介しましょう。

《弓張月の幼くて、乳を求めて育つ時、牛の髄気を身に塗れば、月の世界に吸い上げらりょう!》

《さてどん尻のからくりは、ゆらりと乗った鉄の板、投げる磁石は空へ行く!此奴ァ妙計、鉄板が磁石の跡を追っかける。投げりゃ追い著く、追い著きゃ投げる。投げりゃ追い著く、追い著きゃ投げる。投げりゃ追い著く…… 素敵だぞ! 昇るわ昇るわ際限ねぇ!……》(シラノ・ド・ベルジュラック、辰野隆・鈴木信太郎訳より)

 この調子でシラノは荒唐無稽な法螺を七つ、マシンガンのようにしゃべり続けることでド・ギッシュという男を計略にかけます。シラノはド・ギッシュをどうにか十五分間、足止めする必要があったのでした。それはそうとして、この月へ昇るための荒唐無稽な七つの方法、これにはなんだか覚えがないでしょうかね?

 素晴らしき日々の It’s my own Invention では、死すべき日の前夜に卓司と希実香がおかしな理屈で月へと昇ってゆきました。

《希実香「そんな少女趣味な事言いませんよっ。あのですね。ここの屋上を天まで届けてくださいっ」

 卓司「屋上を天まで?」

 希実香「はいっ。C棟は4階建てです。今私達はその屋上……五階部分に立ってますっ」

 卓司「ああ、立っているねぇ……」

 希実香「こいつを一階ずつ拡張してゆくのですっっ」》

 なるほど、足元を一階ずつ拡張してゆけば、いつか月にも天にも届きますね!

 この後、希実香が特殊警棒で屋上の柵を叩き折る音が、ふたりの足元を一階ずつ高くしてゆくのでした。

《希実香が物質を音に!

 ボクが音を物質に変えてゆく。

 空に伸びてゆくボクたちの屋上。

 どんどんどんどん伸びてゆく。》

 あのシラノが語った月世界の法螺も荒唐無稽だけど魅力的でした。ありえないものを目指すときの人の精神というのはどこか美しさを帯びるものなのでしょうか。

 

 梶井基次郎のKの昇天でも、シラノの月へゆく方法に触れつつ、また別の方法が紹介されていました。人それぞれに月を目指すためのありえない方法があるのです。

《影ほど不思議なものはないとK君は言いました。君もやってみれば、必ず経験するだろう。影をじーっと視凝めておると、そのなかにだんだん生物の相があらわれて来る。ほかでもない自分自身の姿なのだが。それは電燈の光線のようなものでは駄目だ。月の光が一番いい。》

《自分の姿が見えて来る。不思議はそればかりではない。だんだん姿があらわれて来るに随って、影の自分は彼自身の人格を持ちはじめ、それにつれてこちらの自分はだんだん気持が杳かになって、ある瞬間から月へ向かって、スースーッと昇って行く。それは気持で何物とも言えませんが、まあ魂とでも言うのでしょう。それが月から射し下ろして来る光線を溯って、それはなんとも言えぬ気持で、昇天してゆくのです。
 K君はここを話すとき、その瞳はじっと私の瞳に魅り非常に緊張した様子でした。そしてそこで何かを思いついたように、微笑でもってその緊張を弛めました。
「シラノが月へ行く方法を並べたてるところがありますね。これはその今一つの方法ですよ。》

 Kの体は海中に斃れ、魂は月へ昇天したものと思われます。月まで続くありえない梯子を描いたサクラノ詩の夏目圭の魂も、月へと飛翔し続けたのでしょうか。